テオ・レゲット・ビジネス担当編集委員、BBCニュース
米アラスカ航空が運航していたボーイング「737MAX9」のドア部分が離陸直後に吹き飛んだ事故で、ドアが適切に固定されていなかった可能性があるとする新たな報告書が6日、公表された。
1月に発生した事故に関して調査を進めている米運輸安全委員会が、初期段階のまとめを公表した。
それによると、非常用のドアを機体に固定する主要なボルト4本が見当たらなかったという。
ボーイングはこの報告書を受け、同社に説明責任があると表明。デイヴ・カルフーン最高経営責任者(CEO)は声明で、「このような出来事は、私たちの工場から送り出される航空機であってはならない。私たちは顧客と乗客のため、より良い行動を取らなければならない」とした。
問題の事故は、アラスカ航空1282便が離陸した数分後に発生した。「ドアプラグ」と呼ばれる未使用の非常口を覆うパネルが突然吹き飛び、機体の側面にぽっかりと穴が開いた。
報告書によると、ドアプラグは固定用のボルトが欠けていたために機体から外れたとみられるという。
事故機のドアプラグは、ボーイングに部品を納入するスピリット・エアロシステムズが製造した。ボーイングには機体に取り付けた状態で引き渡されたとされる。
報告書によると、ドアプラグはその後、製造過程で損傷が生じたため工場で取り外された。
証拠写真からは、ドアプラグが再び取り付けられた際、4本あるロックボルトのうち少なくとも3本が元の位置に戻されていなかったことが分かったという。
報告書は、ドアプラグとそのヒンジの損傷や、ボルトがあるべき場所に損傷がなかったことから、ドアが外れる前にボルトが存在していなかったことがうかがえるとした。
スピリット・エアロシステムズは、ボーイングや規制当局と緊密に協力し、「当社の製造過程を継続的に改善し、安全性、品質、信頼性の最高基準を満たす」よう引き続き注力するとコメントした。
改善への取り組みを表明
企業文化や品質管理をめぐってすでに厳しい批判にさらされているボーイングにとって、今回の調査結果は耳が痛いものとなりそうだ。
これまでの調査で、同じ仕様の他の航空機のボルトや固定具で緩みがあったことが明らかになっており、同社の製造過程が問題視されている。
ボーイングのカルフーンCEOは、改善計画を立てていると説明。ドアプラグの組み立てに関して新たな検査を実施し、ドアプラグの取り外しは完全に記録すると述べた。
また、サプライチェーンへの追加検査と独立した評価も、計画に含まれるとした。
事故の歴史
アラスカ航空の事故以前にも、737MAXの製造ラインでは、機体の主要部分や落雷から中央の燃料タンクを保護する部分に影響を及ぼす欠陥が発見されるなど、深刻な問題が発生していた。
ボーイングの数十年来の主力機の新型として登場した737MAXは、2018年後半から2019年前半にかけて2件の墜落事故を起こし、計346人の死者を出した。
これらの事故は、設計不良の飛行制御ソフトウェアに起因し、パイロットが防ぐことのできない破滅的な急降下を引き起こしたことで発生した。
これを受けてボーイングは、乗客の安全より利益を優先したと、アメリカの議員や安全運動家から非難された。
米連邦航空局(FAA)のマイク・ウィテカー長官は6日、連邦議会で証言し、737MAXに関する調査によって、「ボーイングの品質システムの問題は容認できないものであり、さらなる調べが必要」なことが分かったとした。
また、ボーイングの工場での調査について、人員を増やして力を入れると表明。同社がFAAに従わなかったり協力を拒んだりする場合は、責任を追及するとした。