オーラ・ゲリン、ヒューゴ・バチェガ、BBCニュース、バグダッド
米国防総省は7日、イラクの首都バグダッドでドローン(無人機)攻撃を実施し、イランが支援する武装組織の司令官を殺害したと発表した。
殺害されたのは、イラクの武装組織「カタイブ・ヒズボラ」の司令官と、警備員2人。バグダッド東部で車両内にいるところを標的にされたという。
国防総省は、この司令官が中東地域のアメリカ軍への攻撃を指揮していたとしている。
アメリカは、カタイブ・ヒズボラが1月29日にヨルダンの米軍基地にドローン攻撃を仕掛けたとみている。この攻撃では米兵3人が殺された。
一方でカタイブ・ヒズボラは30日、イラク政府を「困惑」させないよう、米軍への軍事作戦を停止すると表明していた。
7日のドローン攻撃は、バグダッドのマシュタル近郊で行われ、大きな爆発音が数回聞こえた。
大通りを移動中の車両への精密攻撃で、車は炎に包まれ大破した。
殺害された一人は、カタイブ・ヒズボラの上級司令官、アブ・バキル・アル・サアディ氏とされている。
アメリカ中央軍(CENTCOM)は、現地時間7日午後9時半に攻撃を行ったと発表。「この地域の米軍への攻撃を直接計画し、参加した責任を負う司令官」を殺害したと説明した。
また、「現時点では、巻き添え被害や民間人犠牲者が出たことを示すものはない」としている。
BBCの取材班が現場に到着すると、通りに抗議をする人々が集まり、「アメリカが最大の悪魔だ」と合唱していた。
現場には大勢の警官に加え、イラク内務省の特殊部隊も派遣されていた。
取材班は燃え尽きた車両に近づこうとしたが、周囲にいた人々に押し戻され、ジャーナリストは歓迎されていないと告げられた。
ある男性は、「あなたたちは外国人だ、外国人に責任がある」と叫んだ。
群衆が、厳重に警備されたアメリカ大使館に抗議に向かったとの報道も出ている。
イラク首都での無人機による攻撃は、アメリカが対応を大きくエスカレートさせたものと見られるだろう。これまでの攻撃は、イラクとシリアの国境地域に限られていた。
だが、アメリカの戦略の標的が武装組織が使用するインフラだけでなく、その幹部も含まれるのは必然だったのかもしれない。
7日の攻撃の直後、イラク国内の民兵組織はアメリカへの報復を呼びかけた。
昨年10月7日にイスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスの戦争が始まって以来、米軍はほぼ毎日、ロケット弾やドローンによる攻撃を受けている。
アメリカは1月4日にもバグダッドで、やはり米軍に対する攻撃で非難されている「ハラカット・アル・ヌジャバ」のリーダーに対する空爆を行った。
アメリカは武装組織「イスラム国(IS)」と戦うため、イラクに約2500人、隣国シリアに約900人の部隊を派遣している。
追加取材:サンガル・ハリール、マックス・マツァ
(英語記事 US drone strike kills Iran-backed militia leader in Baghdad)