香取慎吾、ミュージカルで寺山修司役を熱演 『SMAP×SMAP』プロデューサーが提案していたカバーも

香取慎吾が2月8日、日生劇場でおこなわれた主演舞台『テラヤマキャバレー』の舞台挨拶に参加した。

この舞台は没後40年を迎えた寺山修司からインスパイアを受けた作品。若手作家・池田亮による脚本とデヴィッド・ルヴォーの演出により、死期を前にした寺山が最後の劇を作り上げる姿が描かれる。

寺山役を演じる香取は稽古中の1月31日に誕生日を迎え、彼が亡くなった年齢と同じ47歳になったという。

本作については「池田さんが寺山さんの言葉を拾い集めて、それをデヴィッド・ルヴォーさんが優しく僕らに植え付けてくれました。日常では味わえないエンターテインメントの世界を感じていただける作品」とし、役については「時に寺山修司じゃなくなったり、時には香取慎吾だったりするような不思議な話」と話した。

役作りについては「寺山修司さんは名前しか知らなかったのですす、舞台を機にルヴォーさんや池田さんから色々なことを教わり、役が少しずつ育っていきました」とコメント。演じる難しさも感じていたそうだが、生きる上での大変さや苦しさに共感できたことで役と歩幅を合わせられたという。

さらに舞台中で自身が歌唱する楽曲「質問」についても質問が飛ぶ。この曲は1970年に寺山が作詞し、吉川ひろみが歌った楽曲。テレビ番組『SMAP×SMAP』のプロデューサーでもあった黒木彰一氏が香取にカバーを提案していたという。これについて香取は「いつの日か歌えればと思っていたら、この舞台の話が来て。この曲も『質問』という言葉も舞台で大切なので、僕もたくさんの質問を舞台から色々な人に投げかけたいと思います」としみじみ話した。

また香取がルヴォーから「君はシャイなのかい?」と“質問”を受けたエピソードも披露。「これまで共演者とワイワイやることがなかった」という香取は、この質問に対して自分自身を振り返りつつ「シャイではありません。必死なんです」と答えたそう。

そんなこともあってか、公演スタート日のギリギリまで台本を手放さないほど必死な中での準備となったが、今作に関しては劇場入りの日には台本なしで演技できるほどのモチベーションを得たという。さらに座長らしく「みんなで演出家と脚本を信じてここまで来た。必ず千秋楽を迎えられると思います」と意気込む。

最後には「日常生活は上を向いて笑顔でいる時間ばかりではないと思います。観劇して帰る時には、自分の中に残った言葉を見つめて、先の未来の笑顔に向かえる作品。少しでも何かを感じ取ってもらえたら」とメッセージを送り、舞台挨拶は幕を閉じた。

(文=小池直也)

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