公務員の退職金、余裕で1000万を超える? 一般企業と比較してチェック

勤続年数ごとに確認

かつて皆さんも、目指した・憧れた職業があったのではないでしょうか。

2024年1月5日、全国の中学生・高校生の男女を対象にした「なりたい職業に関する調査」をLINEヤフー株式会社が実施。

結果、中高生ともに「公務員」が上位にランクインしました。中学生部門では男子1位、女子3位にランクイン、高校生部門では男女ともに1位に選ばれました。

公務員の人気な理由として、収入面の安定や地域に密着した仕事をしたいなどが多く挙げられています。

収入面が安定している点からも人気な「公務員」ですが、退職金はどのくらいなのでしょうか。

今回は国家公務員の定年退職金の金額、そして企業に勤める人の退職金の現状について詳しく確認していきます。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

国家公務員の定年時の退職金はいくら?【平均支給額】

公務員は、国や自治体に勤務し、営利を目的とせず社会作りを仕事としている人を指し、「国家公務員」と「地方公務員」に区分されています。

それぞれの具体的な職種は下記のとおりです。

  • 国家公務員:自衛官、裁判官、検察官、国会議員、大使
  • 地方公務員:教員、役場職員、警察官、消防官、自治体議員

地方公務員の場合は、勤務する都道府県や市町村によって給与水準や退職金が異なるため、今回は国家公務員の退職金について紹介していきます。

内閣官房の退職金に関する調査によると、国家公務員の退職金は下記のとおりです。

【理由が「定年」である退職者の受給者数と平均支給額】

【常勤職員】「定年」退職者の退職金受給者数と平均支給額

  • 受給者数:1万4283人
  • 平均支給額:2112万2000円

【行政職俸給表(一)適用者】「定年」退職者の退職金受給者数と平均支給額

  • 受給者数:4086人
  • 平均支給額:2111万4000円

常勤職員、行政職俸給表(一)適用者ともに、平均支給額が2000万円以上であることから、国家公務員の退職時の退職金は2000万円を超える可能性が高いといえます。

国家公務員の定年退職金は勤続年数でどのくらい違う?【勤続年数別】

国家公務員が定年退職時に受け取る退職金は、勤続年数により金額が変わります。

内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」によると、国家公務員の退職金平均支給額(定年退職)を勤続年数で下記のように推移しています。

【国家公務員の退職金平均支給額(定年退職)】

【常勤職員】国家公務員の退職金平均支給額(定年退職)

  • 5年未満:158万7000円
  • 5年~9年:446万8000円
  • 10年~14年:713万7000円
  • 15年~19年:1159万1000円
  • 20年~24年:1309万2000円
  • 25年~29年:1663万2000円
  • 30年~34年:1991万7000円
  • 35年~39年:2303万8000円
  • 40年以上:2234万7000円

【うち行政職俸給表(一)適用者】国家公務員の退職金平均支給額(定年退職)

  • 5年未満: 84万8000円
  • 5年~9年:451万8000円
  • 10年~14年:675万7000円
  • 15年~19年:1016万6000円
  • 20年~24年:1352万4000円
  • 25年~29年:1625万6000円
  • 30年~34年: 2037万円
  • 35年~39年:2189万1000円
  • 40年以上:2139万1000円

上記表のとおり、勤続年数が長いほど退職金額が増加傾向にあります。

【比較】企業に勤める会社員の定年退職金はいくら?

前章では、公務員の定年退職金の相場について紹介しましたが、大企業や中小企業に勤める会社員の定年退職金はどのくらいなのでしょうか。

最新の統計である中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」によると、資本金5億以上かつ労働人材が1000人以上の企業のモデル定年退職金は、大学卒・高校卒それぞれ下記の結果となりました。

  • 大学卒:2563万9000円
  • 高校卒:1971万2000円

※学校を卒業後ただちに入社して標準的に昇進した者のうち、事務・技術(総合職相当)

一方で、東京都産業労働局の調査データによると、企業規模が300人未満の企業の定年退職金は下記の結果となりました。

【高校卒】企業規模別・定年退職金

  • 企業規模10~49人の退職金:880万3000円
  • 企業規模50~99人の退職金:1065万9000円
  • 企業規模100~299人の退職金:1204万5000円

【大学卒】企業規模別・定年退職金

  • 企業規模10~49人の退職金:979万3000円
  • 企業規模50~99人の退職金:1141万8000円
  • 企業規模100~299人の退職金:1323万円

※卒業後すぐ入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準

上記を比較すると、大企業の方が中小企業より1000万円ほど差があるとわかります。

とはいえ、企業の退職金は各企業の制度や入社時の学歴などによって格差が大きいため、上記の金額はあくまで目安として参考にすると良いでしょう。

退職金だけに頼るのは危険? 前もって無理のない「老後資金づくり」を

企業に務めている人のなかには、将来の退職金のことも考えて資金計画を立てている人もいるでしょう。

公務員、一般企業共に共通していることは勤務年数や経歴によって異なるということ。

昨今は転職等、働き方を変えるケースも多く見受けられます。

長い期間勤めることで、まとまった金額を受給することができる退職金。きちんと額の決まっていない退職金のみに頼り、老後をむかえるのは危険かもしれません。

前もって計画的に、退職金に頼りすぎない老後の準備も視野にいれていきましょう。

参考資料

  • LINEヤフー株式会社「LINEリサーチ、全国の中学生・高校生の男女を対象に、なりたい職業に関する調査を実施」(PRTIMES)
  • 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
  • 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」
  • 厚生労働省 中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」
  • 厚生労働省「退職給付(一時金・年金)の支給実態 」

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