児童文学者・後藤楢根の生涯描いた漫画発行 由布市教委、小中学校に配布へ【大分県】

後藤楢根の生涯を描いた漫画「明日へ遺すものがたり」
漫画の完成報告会に出席した二宮寿さん(右から4人目)ら=由布市役所

 【由布】由布市教委は、同市挾間町出身の児童文学者・後藤楢根(ならね)(1908~92年)の生涯を描いた漫画「明日へ遺(のこ)すものがたり」(120ページ、B6判)を発行した。2200冊作製。市内の小中学校に配布し、授業などを通して子どもたちに郷土の偉人を伝える。

 後藤は、俳句の先生をしていた父親の影響を受け、俳句に親しみながら成長。挾間尋常高等小時代から詩を書き始める。19歳で雑誌「童謡詩人」を創刊した。終戦後の46年、子どもたちの心を温かくしようと日本童話会を設立。児童文化の発展や人材育成に尽力した。

 功績をたたえ、2008年から同町で「ならねっ子まつり」が開かれている。

 漫画は、後藤のおい、二宮寿(ひさし)さん(95)=同町下市=を委員長とする「後藤楢根広報委員会」と、ならねっ子まつり実行委員長の二宮修二さん(87)=大分市荏隈町=ら約10人が監修。寿さんが原作を考えるとともに、資料を提供した。作画は挾間地域放課後子ども教室「学楽多(がらくた)塾」の漫画教室講師、一尾和史さん(62)=挾間町鬼崎=が担当した。

 2日に完成報告会があり、関係者が由布市役所を訪問。寿さんは「生い立ちや思いが分かりやすく表現された漫画。生き方を参考にしてほしい」とあいさつした。修二さんは「一つのことに熱中し、努力をすれば達成できることを感じてほしい」と話した。

 事業費は、B&G財団(東京都)の助成金300万円を充てた。同財団は21年度から古里への興味や関心を高めてもらおうと、偉人漫画の製作事業を実施。23年度までに全国の100自治体を助成してきた。県内では江戸時代の学者、三浦梅園(国東市)に続き2冊目の発刊。

 後藤の漫画は4月から同財団のホームページで閲覧できる予定。

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