暮らしの息吹求め市場に通う中国の若者たち 吉林省

暮らしの息吹求め市場に通う中国の若者たち 吉林省

吉林省長春市近郊の卡倫市場で年越し用品を購入する大勢の買い物客。(1月18日撮影、長春=新華社記者/唐成卓)

 【新華社長春2月12日】中国東北部の農村では春節(旧正月、今年は2月10日)直前の時期、年貨(年越し用品)などを扱う市場が大にぎわいを見せた。以前とは異なり、現在では市場の人だかりに多くの若者の姿が見られるようになっている。

 吉林省長春市の南の郊外にある「大屯集」では、初めて市場に来た大学生の周思佳(しゅう・しか)さんが、周囲の何もかもを興味津々で眺めていた。一通り見て回った周さんは「アイスクリームを冷凍庫でなく箱に詰めて地面に置いて売っている。スーパーで500グラム30~40元(1元=約21円)するイチゴが、市場ではたったの8元だった」と固定観念が一新されたように話した。農村の市場には多くの露店が並び、品ぞろえも豊富で、「量が多くお買い得」を最大の特長とする。

暮らしの息吹求め市場に通う中国の若者たち 吉林省

吉林省長春市近郊の卡倫市場で冷凍の梨や柿を買い求める客。(1月18日撮影、長春=新華社記者/唐成卓)

 多くの若者は、繁華街にある流行の文化クリエーティブ商品や国際的なブランド、おしゃれなドリンクではなく、日常的な野菜や果物、手軽な軽食やおやつ、日用品など、縁遠くなっていた暮らしの息吹を求めて農村の市にやって来る。

 周雨杉(しゅう・うさん)さん(15)は、市場のにぎわいが何より愛している。小さい頃、よく祖母と一緒に市場へ牛の干し肉を買いに行き、春節には毎年、花火も買っていた。市場には祖母と孫をつなぐ思い出が詰まっており、「商品の種類は年ごとに充実していくが、熱気と暮らしの息吹は変わらない。市に漂う生活の気配は、子ども時代の幸せな記憶そのもの」だという。

 農村の大きな市場では、出来たての豆腐が湯気を立て、揚げたての菓子「大麻花」の香りが辺り一面に漂う。魅力的な品物がずらりと並び、すぐそばでは熱気に満ちた値切り交渉の声が響く。見るもの、聞こえるもの全てに「暮らしの息吹」が宿っている。

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吉林省長春市近郊の卡倫市場で、自ら飼育したニワトリやガチョウを店頭に並べる露店の店主。(1月18日撮影、長春=新華社記者/唐成卓)

 長春市に住む余娜(よ・な)さんはすでに市場の常連で、にぎやかな市場にやって来ると、自分の生活が「活気を帯びる」ように感じるという。余娜さんは「市場に来るたびに、社会と触れ合い、生活を抱きしめているような感じを覚える」と語った。

 熱気あふれる現実の生活でも、刻々と変化していくネット空間でも、市場に行くことは若者にとって徐々に新しい動きの一つになりつつある。あるネットユーザーはソーシャルプラットフォーム上で「中国の若者はもう、いわゆる『洗練』を意識的に追い求めなくなり、より広い意味での生活を大切にしている」と書き込んだ。(記者/段続、唐成卓、宋心平)

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