中・豪の研究者、結晶シリコン太陽電池の「薄膜化」で飛躍実現

中・豪の研究者、結晶シリコン太陽電池の「薄膜化」で飛躍実現

江蘇科技大学と太陽光パネル大手の隆基緑能科技が共同で開発したフレキシブル結晶シリコン太陽電池の曲げ試験の様子。厚さは左側が84ミクロン、右側が57ミクロンとなっている。(2022年11月16日撮影、南京=新華社配信)

 【新華社南京2月12日】中国の江蘇科技大学はこのほど、太陽光パネル大手の隆基緑能科技(ロンジー・グリーン・エネルギー・テクノロジー)、オーストラリア・カーティン大学との3者協力により、柔軟性と出力重量比が高い結晶シリコンヘテロ接合型太陽電池を世界で初めて製造したと明らかにした。結晶シリコン電池の応用シーン拡大が期待されるという。研究成果は1月31日、国際的な学術誌「ネイチャー」に掲載された。

 論文の筆頭著者、江蘇科技大学の李陽(り・よう)教授によると、太陽電池は新エネルギー車(NEV)、リチウムイオン電池と共に中国輸出製品の「新三様(新たな定番3品目)」とされている。結晶シリコン電池はその中でも基幹的存在だが、産業としては以前から二つの技術の難題を抱えている。一つは大面積の結晶シリコン電池の変換効率が26%を超えにくいこと。もう一つは現在の先進的な結晶シリコン電池の厚さが一般的に150~180ミクロンで、海面、曲面の屋根、人工衛星、宇宙ステーションなど、材料の重量や柔軟性に対する要求レベルが高いシーンへの応用が難しいことである。

 3者協力チームは研究でウエハーを55~130ミクロンまで薄くし、表界面不活性化(パッシベーション)、ドーパント接触成長などの新製法を開発した。テストの結果によると、厚さ57~125ミクロンの5種類の製品はいずれも26%以上の変換効率を実現し、最高は26.81%に達した。ドイツのハーメルン太陽エネルギー研究所(ISFH)が関連データを認証した。

 李教授は、厚さ57ミクロンの同電池は出力重量比が1グラム当たり1.9ワットで、市販製品の2~3倍に当たったと指摘。「以前は薄膜太陽電池と言うと、アモルファスシリコンまたは有機太陽電池を思い浮かべるのが一般的だったが、チームは厚さをA4用紙より薄い100ミクロン以下にすることで、結晶シリコン電池の大きな弱点を補った。今後もより軽くて柔らかく、効率的な結晶シリコン電池の開発を続けていく。いつか、フィルムのように携帯できる日が来るかもしれない」と語った。

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