【連載】インカレ直前特集 第5回 久保田真知子×池田光希

全日本学生選手権(インカレ)直前特集・第5回はジャンプ部門の久保田真知子(スポ3=長野・飯山)と池田光希(スポ2=北海道下川商)。昨年はユニバーシティゲームズに出場するなど、国内そして世界でも活躍するお2人に話を伺った。

※この取材は10月19日に行われたものです。

「大きな経験をさせてもらえた」(久保田)

――お互いに紹介をお願いします

久保田 光希は北海道上川町出身で下川商業高校から早稲田に来て、私たちは小学生くらいから知り合いというか、ジャンプ台で会うような感じでお互いを知っていました。大学生になってから一緒に練習するようになって、昨年は一緒にユニバーシティゲームズに出場させていただきました。女子の団体では2人で出て、一緒に銅メダルを取ることができたチームメイトです。

池田 真知子さんは長野県野沢温泉村出身で、長野県飯山高校出身です。真知子さんも言ってくれたんですけど小学生の時に冬の北海道の大会で多分初めて会い仲良くなって、ずっとそこから知っていて大学に入って同じチームメイトとして活動しています。昨年はユニバーシティゲームズに一緒に行って、団体で一緒にメダルを取らせてもらいました。真知子さんは個人でもメダルを取っています。インカレでも昨年は早稲田でワン、ツー、スリー、メダルを取ることができました。いつも強くて頑張り屋さんというか努力家な方だと思います。

――この夏のいちばん印象的な出来事は何ですか

久保田 私はこの夏、6月のトレーニング中にけがをしてしまったのがいちばん印象的というか、大きな出来事でした。

池田 6月に真知子さんがけがをした瞬間を下から見てたんですけど、すごくいいジャンプで「すごいいったな」と思ったときにけがを目の前で見たので、すごくびっくりしました。びっくりして自分も焦っちゃってどうしようという感じでした。その後は真知子さんはリハビリを頑張っていて一緒にジャンプ台で練習することはないんですけど、私は北海道に行ったり山形に行ったり、新潟に行ったり、今年の夏は8月から9月にかけて7週連続で試合に出場しました。それがチームの中で1人で、(これまでは)2人で移動とか宿の予約をしていたので、すごく大変に感じました。

――現在の調子はいかがですか

久保田 私は今年が勝負の年だと思って春からやってきたんですけど、6月にけがをしてしまいました。それまではすごく調子も良くなってきていて、さっき光希も言ってくれたんですけど、転んだ時のジャンプはすごく良かったのですごく悔しいです。今は手術も終わってリハビリをしています。

池田 今年サマーの試合にたくさん出てみての感触としては、あまりいい手応えではなかったです。インカレの開催地でもある鹿角の試合に出てきたんですけど、その試合前の調整を少し変えてみたら体の調子が上がりました。今までは足でしか飛べないようなジャンプをしていたんですけど、うまく腰を前にして上半身と下半身を一緒に動かせるようなジャンプになりつつあるので、来週札幌で開催される全日本選手権でうまく絡み合えば、それなりにジャンプはできるのかなと思っています。

――昨シーズンを振り返っていかがですか

久保田 昨シーズンのメインはユニバーシティゲームズで全種目メダルを取ることはきたんですけど、個人戦で優勝を目指していて、2位という結果であと1歩ですごく悔しく終わってしまいました。自分としてはすごく大きな経験をさせてもらえたというか、日本では団体戦はないので、個人種目だけじゃなくて団体戦に出て日本のチームのみんなとメダルを取れたことや、クロスカントリーの選手とコンバインドの選手と3人1組の団体戦(混合スプリント混合団体)があり、その種目はユニバーシティゲームズで初めての種目でした。昨年4年生の祖父江凛(令5卒)さんと同じチームになり金メダルを取ることができたのですごくうれしかったです。インカレは目標としていた優勝をすることはできたんですけど、内容的には満足のいかない悔しい内容だったなという印象です。

池田 私は昨シーズンの目標は大きく2つありました。1つ目はユニバーシティゲームズで個人戦、団体戦ともに金メダルを獲得すること、2つ目はインカレで優勝することでした。ユニバーシティゲームズでは個人戦が8位、複合競技も6位で、団体戦だけ真知子さんと3位のメダルが取れました。個人の目標は達成できなくてメダルは取れたし、うれしい気持ちもあったんですけど、やっぱり悔しさの方が大きかったなと思います。インカレも同様で目標としていた優勝に届かなかったのですごく悔しい思いをしました。ジャンプ自体も失敗してしまったジャンプを続けて2本飛んでしまったので、ああいうジャンプは2度としたくないという気持ちになりました。

――ユニバーシティゲームズでの印象的な出来事はありますか

久保田 開催地がアメリカ(レイク・プラシッド)だったので、アメリカと言ったらというイメージを持っていたんですけど、行った場所があまり何もないところで、泊まったところも大学の施設、寮みたいなところで、バスに乗らないとどこにも行けない感じで、それがすごく印象的でした。アメリカに行ったことはなかったですが、アメリカっぽくないなという印象がすごく大きかったです。

池田 私は今回ユニバーシティゲームズでアメリカに行った時は初めての海外遠征だったので、すごくいい思い出になりました。いちばんは日本とは違う環境だなという感じでした。あとは帰国当日の午前中に時間があったのでレイク・プラシッドの町に出て同期と一緒にちょっと観光したりお土産を買ったりした時はすごく楽しかったです。

――昨年の冬に得られた収穫や課題はありますか

久保田 私は昨シーズンの冬に国内で行われたW杯に初めて出場することができて、自分のしようと思っていたジャンプをしてもなかなか世界の壁が高いというか、世界のトップ選手といざ同じスタートゲートで同じ試合に出ると自分の力じゃ全然及ばないことを身をもって感じました。まだまだ練習が必要だなとすごく感じた試合でした。

池田 昨シーズンはシニアの国内で行われる大会で10位以内を目指してやっていました。自分の思い通りのジャンプがうまくできなくて、いつも15位、16位とか目標を達成するには遠い順位ばかりだったので悔しさの方が大きくて、何をしてもジャンプが終わらないんじゃないかというかどん底というか、何しても飛んでいかないだろうみたいなマイナスの方向に走っていました。今年はいろいろなことをやってみようと思って、道具を変えて今、取り組んでいる最中です。今年は道具が変わってモチベーションも上がったので、いいジャンプができたらなと思います。

――現在競技面や生活面で意識していることはありますか

久保田 私は夏のけががいちばん大きい出来事だったので、けがしたばかりはもう絶望というか何してもダメだというか、残念というかなんて言ったらいいんだろう…辛かったです。最近はスキー以外のことをたくさんしてトレーニングもできないので、普段スキーをしていたらできないようなことをして、周りの人とたくさん喋って、自分が少しでもこの経験をして良かったなと思えるようにできたらいいなと思い生活しています。

池田 私はトレーニングの面では今年は瞬発系のトレーニングを多くしたのと、外力に負けないようなバランス、どんな力がどこから来ても耐えるようなトレーニングを多めに入れています。まだその結果がしっかりかみ合っていることはないので、地道に続けていきたいなと考えています。学業の面では秋学期からリコンディショニングという、選手がけがをした時の救急処置から競技復帰までのパフォーマンスを向上させるための専門的なゼミに入りました。残りの大学生活でスキージャンプはけがが多い競技なので、それをどうしたら防げるかとか、事前にけがをしない体作りができるかというのを自分もやりつつ、ゼミの学習とも組み込ませて学習していきたいなと思っています。

「自分の納得するジャンプを」(池田)

昨年のインカレにてジャンプ台で待機する池田

――チームの雰囲気はいかがですか

久保田 みんながお互いを刺激し合ってというか、私は部屋の人たちがよくトレーニングをしているのを見て私も頑張ろうと思えるので、家族というか、毎日一緒に生活していてお互いに刺激をもらっています。部屋の人も私もやらなきゃなといつもやってるって言っている時もあるので、すごく雰囲気はいいと思います。インカレに向かってみんなすごく頑張っているというか、私も頑張ろうと思えるいい雰囲気だと思います。

池田 スキー部の人たちはすごく真面目で努力家が多いんですけど、オンオフの差がはっきりしていて練習に取り組む姿は人一倍真面目だなという印象があります。練習以外で会えばみんなで遊びに行ったり、ふざけ合ったりという時はすごくゆったりしているというか、肩の力を抜いてリラックスしている感じです。

――チームの注目選手はどなたですか

久保田 本田千佳(スポ4=秋田・花輪)さんが注目選手だと思います。昨年のインカレでも優勝(クロスカントリー女子5キロフリー)していました。チーフになってクロカンの女子を引っ張る立場になって、部門でのトレーニングも練習も千佳さんなりに悩むこととか困ってることとかもすごくあって、どうしたらいいかなと話すこともあるんですけどいつもすごく練習を頑張っているし、尊敬する部分がたくさんあるので、今年も活躍してくれるんじゃないかと楽しみというか、期待しています。

池田 2人いるんですけど、1人目はクロスカントリー部門で同期の山田智子(スポ2=秋田北鷹)です。近くの湖に一緒に走りに行ったり、学校に一緒に行ってウエートトレーニングをしたりすることが結構あって、メニューは別々なんですけど、トレーニング姿を見ていると今年は速くなりそうだなと感じます。すごく努力家だし練習を黙々とこなしている姿をすごいなと思います。あと智子は今年の10月に100キロのウルトラマラソンに出ていて、その時点で私は大尊敬で、100キロ走れるってすごいなと、そういうところも含めて期待したいなと思います。少し前の鹿角の試合に出て優勝していて、ホームコースでもあると思うので期待しています。もう1人がクロスカントリー部門の1年生、山崎優風(スポ1=長野・飯山)です。今年の夏に私は野沢温泉を拠点にして大会に出たり練習したりしていたんですけど、優風が野沢温泉のトレーニングルームに来て地元のアルペンスキーの子たちと1周1キロのすごくきついコースで先頭を走って練習している姿を見て、1年生ながらにすごい強いな、早いなと思いました。優風の滑りを見たことはないんですけど、すごく速い印象があるので期待しています。

――今シーズンの目標や意気込みをお願いします

久保田 私は今シーズンは競技復帰できないので、3月末くらいに復帰できたら理想というか、そういうプランで今リハビリをしています。スキーはギリギリできるかできないかくらいで、とりあえず今シーズンは焦らずにけがを治してリハビリに取り組みたいと思います。

池田 今シーズンの目標もインカレの優勝を目指してやっていきたいと思います。昨年は不甲斐ないジャンプをしてしまったので、今年は自分の納得するジャンプを2本揃えられるように頑張りたいです。

――色紙に言葉を書くとしたらどんな言葉を書きますか

池田 「勇気」です。自分の今思う通りのジャンプというかやりたいジャンプができていない。スキージャンプは体を前方に投げ出して飛行していく競技なんですけど、私は角度がすごく浅くて、もう少し勇気を出して飛び込めば飛ぶ距離も変わってくるので、なんでも勇気をもって取り組むことで、何かが変わるのかなと思い、選びました。

久保田 「進む」です。けがをして何も考えられないというか、どうしたらいいんだろうという時期から少しずつまた前を向いて進んでいければ、強くなっていければと思い、その字を選びました。

――ありがとうございました!

(取材・編集 堀内まさみ)

◆久保田真知子(くぼた・まちこ)

長野・飯山高出身。スポーツ科学部3年。ジャンプ部門。ハマっていることは編み物。最近はシュシュやマフラーを作ったそうです。昨シーズン、ユニバーシティゲームズで2位、インカレで優勝を果たした久保田選手。日々「進」み続ける久保田選手に注目です!

◆池田光希(いけだ・みき)

北海道下川商出身。スポーツ科学部2年。ジャンプ部門。好きなことは野球観戦。ベルーナドームに阪神戦を観に行ったそうです。応援している選手は木浪聖也選手。昨シーズン、インカレそして世界の舞台を経験した池田選手の2年目のインカレに期待が高まります!

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