【連載】『令和5年度卒業記念特集』第4回 神鳥舞/庭球

一人で皆を引っ張りきった主将

庭球部の卒業記念特集一人目は女子主将の神鳥舞選手(スポ4=東京・早実)だ。
神鳥選手はインカレのダブルスで優勝し四連覇を果たすなどコートで獅子奮迅の活躍を見せてきた選手だ。そんな彼女はテニスや部活をどのように受け止めていたのだろうか。

3歳の時テニスを始めてから約17年間テニスと過ごしてきた。テニスを通じていろんな人と出会え成長することができた。テニスがなかったら今の自分はいないと断言する。特に早稲田に入ってからがむしゃらに言われたことだけをこなすだけでは何も変わらないと気づき、自分で考えて行動するようになったという。後輩とのコミュニケーションなどもその一例だ。「試合前のLINEだけでなく試合後もコミュニケーションを取るようにしていました」と語るように、結果だけでなくコート外でもまたチームを引っ張っていた。その責任感の強さは一年生の時に同期が誰もいなくなり精神的にきつかった状況がありながらも、「引退してみると物足りなく寂しい」という神鳥選手の言葉にも表れている。

力強いプレーでチームを引っ張り続けた

さらに「同期がたくさんいたらやるタイプではない」と自己評価する中、主将も務めあげた。自分の言動が全てチームに繋がってくる立場になり、一年生のころの自分のために勝つ意識は影を潜め、チームのために勝つことを意識するようになった。団体戦だけでなく個人戦でも早大のために勝ちたいという気持ちが強く出るようになったため、四年生の春の早慶戦での勝利は格別だったと振り返る。主将をしてから半年たった時の勝利だったことで、チームが良い方向に向かっていけると確信できた機会にもなったそうだ。

しかし17年間で一番大変だったのはやはり大学四年生の時だったという。その原因は早大庭球部に入った時点で大学四年間でテニスやめると決めていたことにある。「それが自分に合っているしやり切るつもりでいました。しかしやめると決めていたからこそ、いろんな葛藤がありました」と語る。体は疲れていないのに気持ちがついていかない日々。四年生になってから就活に逃げてしまうことも多々あった。練習後など自分でやり切れていないと感じることもしばしばあり、引退してからもまだまだ頑張れたと感じているという。余裕がなくなり上手くいかなくなると逃げたくなる自分を律するべきだったと省みる。

そんな中、早大庭球部が恵まれた環境にあることを後輩に伝えたいと語気を強める。個人戦と団体戦両方がある環境で切磋琢磨しながらも高めあうことができるからだ。これは神鳥選手が一年生のとき先輩に言われた「テニスだけ強くても何の意味もないよ」という助言に端を発する。当時はそんないい意味が分かっていなかった自負が、後輩の指導に繋がっている。「これまでも人として成長することの大切さを強調して指導を続けてきました、後輩も早い段階で理解してほしい」と期待をのぞかせる。特に一個下の代には思い入れが強いようで、同期がいなかった分支えてくれた感謝と共に、これから重圧と戦う思うが、結果よりも悔いがないようにしてほしいとメッセージを送った。

今後はテニスをやめて就職する選択をした神鳥選手は、違うフィールドで上を目指すのが楽しみと頬をほころばせる。テニスを通して心身ともに鍛えられた神鳥選手ならば、どんな状況でも乗り越えられることができるだろう。

(記事、写真 大日結貴)

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