【連載】『令和5年度卒業記念特集』第5回 藤岡凌大/庭球

チーム一丸で日本一を目指す

庭球部の卒業記念特集二人目は男子主将の藤岡凌大選手(文講4=東京・早実)だ。
彼は早稲田実業高校でかなえられなかった全国大会優勝をかなえるために早大でも庭球部に入ることに決めた。団体戦で日本一を二度達成した一方で、主将という立場にもなり、様々な重圧と戦ってきた。

まず早大庭球部に入ってから何が変わったかを尋ねてみた。特に変わったところは周りを意識するようになったところだ。中学までは自分に対するベクトルしか向いていなかったが、部活動に入ってからは高校でも大学でも自分が強くなるだけではだめだとなった。自分だけがよいという視点がなくなり、個人でも団体を意識するようになったという。特に高校は顧問がいったことを上手くやることがメインだったが、大学では自分たちで部活動を作り上げていくのが決定的に違ったと振り返る。周りとの協調性を意識しないと回らないところが、部活動の肝だ。

試合で力強いストロークを放つ藤岡

その分析の通り、主将になってから何が大変だったかという質問にはチーム全体をまとめることと回答する。高校の時も主将だった藤岡選手だが、早大庭球部の方が全然部員が多く、テニスのレベルも初心者から全国レベルまであるため幅広い。そこでチーム全体で日本一という目標を掲げることでチームをまとめることを実現できた。しかしその道のりは一筋縄ではなかった。藤岡選手は自分には実力がなく背中で引っ張ることができなかったと分析する。他方でこれまでの主将は実績と信頼がある人が務めてきた中、自分は実力がなくてもこういうやり方で主将としてチームを統率できるんだよと見せられたことで、主将の概念を変えられたのではないかと自らの貢献度を振り返る。

チーム全体での協調性を強く意識してきたという藤岡選手。やはり後輩へのメッセージを尋ねると、良くも悪くも個人戦であるテニスをやっている中でチーム全員がコミュニケーションとってチーム全員で日本一を目指せるチームを作り上げてほしいという回答する。「出場する選手だけが日本一を目指すと達成感が少ないと感じています。周りの応援や支えがあってこそ勝利があります。早大の良さはチーム力だと思うのでぜひチーム一丸となって目指してほしいです。」と語った。

その一方で同期には様々な面で助けられたそうだ。特に一番大きいのは自分が実力不足で背中でひっぱることができなかった中、同期が出場して結果を残してくれたところだという。威厳という面だけでなく、技術力の面で非常に助けてもらえたという。「練習メニュー等での付け加えなど、技術的に優れた同期の視点は非常にありがたかったです。意見を出し合うことでいいものを作れました」と感謝を口にする。意見はぶつかることはあったがそれを乗り越えていいものを作れたと回顧する。

テニスを小3から13年間続けている藤岡選手だが、一番つらかった時期を聞くと高校の最後や大学の最後結果が出なかったときだという。しかし個人戦で勝てなかった分団体戦でどう勝つか落ち込んでる暇はないと考え方を変えることで乗り越えてきたと語る。周りの意見も取り入れることで一人抱え込むことも避けるようにしていたようだ。

テニスを通じていろんな人と関り、コミュニケーションの取り方を学んだ。テニスを通じて相手がどうしたら喜んでくれるかなど、相手の気持ちを読み取る能が磨かれた。鍛えられた協調性を4月から就職する一般企業でも社会人として生かし活躍してくれるに違いない。

(記事、写真 大日結貴)

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