クマ生息地復元と環境整備・被害防除こそ必要

 クマによる死傷事案が相次いだことから環境省はクマを指定管理鳥獣に4月中に指定する方針を決めた。今回の動きを受けて一般財団法人「日本熊森協会」は「人身事故を減らし、棲み分けを実現するためにすべきはクマを指定管理鳥獣にすることではない。本当にしなければならないことは既に明白で、クマの生息地復元と環境整備・被害防除に直ちに費用を出し、取組むこと」とのコメントを発表した。

 協会は「放置人工林の深刻な荒廃やナラ枯れの大発生、昆虫の減少、大規模な太陽光発電や風力発電開発などクマの本来の生息地である奥山の深刻な劣化、クマに生息地や餌場を回復していくことの重要性、人里へ出て来なくても暮らしていける環境が残っていなければ、棲み分けはそもそも実現しない」と提起している。
 
 また「人身事故を減らすための集落や民家周辺の環境整備、過疎と高齢化で圧倒的なマンパワーが不足する地域をどう支援していくのか」などの課題への取組みの必要も提起した内容になっている。環境省は2月13日からクマを指定するための省令改正案について「パブリックコメント」を募集する。

 伊藤信太郎環境大臣もクマの指定管理鳥獣に関して「絶滅の危険がある四国を除き、4月中にクマ類を指定することになると思うが、クマ類を絶滅させてはいけない。クマ類と人間社会の共生を図るということが基本」と強調した。

 「自治体によるクマ類の個体数などのモニタリング、人の生活圏への出没防止のための環境管理、必要な捕獲、人材育成など『捕獲に偏らない被害防止の取組みを』地域の実情に応じ実施していただく」としている。(編集担当:森高龍二)

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