理想の仕事を求めて転職活動を始めたものの、企業が求める条件に自分の経験やスキルが追い付かず、「どこにも行くところがない」とガックリ…。こうした壁にぶつかったときには、考え方を少し変えることで一歩前に踏み出すことができます。3回目の転職で年収350万円アップを達成した〈こむたろ氏〉が実行したことを、著書『「ちゃんとした自分」をあきらめたら、年収が上がりました。』から一部抜粋してご紹介します。
今の自分では「理想の転職」には手が届かない現実
転職活動を始め、応募する求人を探すために転職サイトを眺めていたら、大事なことを忘れていたと気づきました。
「年収」や「残業時間」などの雇用条件です。たとえば、
・年収は400万円以上欲しい
・残業は月20時間以内が良い
・福利厚生もある程度充実していて欲しい……etc
「勇気を出して転職するのだから、これくらいの条件は押さえておきたいよね」誇れる経験やスキルがない自分を棚にあげて、こんな理想の条件をのんきに挙げていました。
しかしですね……この条件で転職サイトや転職エージェントなどで求人を探したところ、まぁ求人の少ないこと。
かろうじて紹介してもらった求人に応募しても、書類すら通らない。
経験が少なく、目立つ実績もない。かといって何か積極的に新しいことを学んでいるわけでもない。そんな〝戦闘力よわよわ〞のわたしが、希望の条件をすべて満たした求人に受かるなんてほぼあり得ない話だったのです。これが現実か……。
転職は「妥協するな」とよく耳にします。でも、わたしにとって「妥協しない」というのは、「転職しない」とほぼイコールでした。転職にはエネルギーをたくさん使うし、精神的にもつかれる。だからこそ、「この一度の転職ですべてを得たい」と思っていたのです。
でも、このままではどこも行くところがない。厳しいけれど、突きつけられた現実を受け入れるしか、前に進む道はありませんでした。
結局わたしは、「かなりの妥協」を選択することになるのでした。
欲しいものを「得る」ために「捨てる」ものを選ぶ
「年収も、スキルも、やりがいも、働きやすさも、ぜんぶ大事じゃないか。選べません!」
正直なところ、これが本音です。
バリバリの高スキル&経歴を持っている人は別です。きっと一度にすべてを手にすることができる人もいるでしょう。しかし、わたしは経験もスキルもなく努力も苦手なタイプ。
だから、「1回の転職ですべてを得ること」をあきらめました。
不満だらけの現状を脱し、前に進むためには、このダメなわたしを受け入れるしかありませんでした。
「じゃあ、どんな条件を捨てようか?」と考えたときに、わたしは「年収アップ」と「残業の少なさ」この2つを捨てました。
というのも、この条件を外しただけで応募できる求人が圧倒的に増えたからです。
かといって、今の会社より大幅に条件を下げて、たとえば年収200万、残業月100時間となったら、長く働き続けることはできません。
自分が働き続けられる範囲で「妥協ライン」をかなり広げたのです。
年収は今と同じ350万円以上、残業は月40時間ぐらいを目安にしてみました。ただし、なりふり構わず「捨てた」わけではありません。あとから「捨てた条件」も「拾える」自分になろう、こう考えていました。
「行く当てがある人材になる=将来条件の良い会社に転職できるようになる」
きっと、この方程式が成り立つと考えたからです。
[図表]一度の転職ですべてを得ようとしない
企業から「欲しい」と思ってもらえるスキルや経験を身につければ、次に転職するときに応募できる企業の数はぐっと増えるはずです。
つまり、今よりも「選べる転職」ができる。選べるということは、「年収アップ」や「残業の少なさ」などの条件が良い会社も選択できるようになるはずだ、と。
だから、初めての転職では「できることを増やす」を得ようと決めました。
1回目の転職の軸
【捨てるもの】年収や残業の条件
【得るもの】できることを増やす
こうやって、「自分が本当に欲しいものは何か」をしっかり見据えたことで、おのずと「捨てるもの」が見えてきました。
こむたろの気づき:1回の転職ですべてを得ようとするとハードルが上がる
こむたろ
※本記事は『「ちゃんとした自分」をあきらめたら、年収が上がりました。』(大和出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。