夜間学校が人気、若者たちが集う「心のオアシス」に 中国・合肥市

夜間学校が人気、若者たちが集う「心のオアシス」に 中国・合肥市

合肥市の夜間学校で、受講者にハンドドリップコーヒーの入れ方や楽しみ方を教える講師。(1月16日撮影、合肥=新華社記者/趙金正)

 【新華社合肥2月13日】中国安徽省合肥市の合肥夜校(夜間学校)は現在、40以上のユニークな講座を開講している。同市の会社員、霍婷(かく・てい)さんは夕方になって会社を出ると、同校のハンドドリップコーヒー講座に直行し、仕事終わりの「ナイトライフ」を始める。

 授業を終えた霍さんは「以前は何の知識も持っていなかったが、今ではカフェで注文をする時にコーヒー豆の品種や等級などに注意を払うようになった」とし、夜間学校は知識の幅を広げてくれるだけでなく、会社と家以外に、心身をリラックスできるもう一つの「支点」を提供してくれていると述べた。

 中国では20世紀にも夜間学校ブームがあり、多くの人が余暇に夜間学校に通って専門技能を学び、職業技能の不足を補った。昨年から再び全国各地で夜間学校ブームが起こり、「青年夜校」や「新式夜校」などの関連トピックがたびたびソーシャルプラットフォームのトレンドに登場するようになった。

 多種多様な新しいスタイルの夜間学校は現在、現代の若者が新鮮な知識を獲得し、心身をリラックスさせ、仲間と出会う、精神の楽園になりつつある。

夜間学校が人気、若者たちが集う「心のオアシス」に 中国・合肥市

合肥市の夜間学校で、春節(旧正月)らしさを感じさせるメーキャップ術を教える講師。(1月16日撮影、合肥=新華社記者/趙金正)

 昨年11月に開校した合肥夜校は多数の目新しいカリキュラムを打ち出し、ネット上であっという間に大量の若者ファンを獲得した。今では市内に10カ所のキャンパスを構え、書道やスポーツリハビリテーション、メーキャップ、無形文化遺産のろうけつ染めなど若者の生活や興味に寄り添ったカリキュラムを提供し、これまでに市民千人余りが実際に足を運んで講座を体験した。

 山東省からやって来た若いエンジニアの盧(ろ)さんは、夜間学校の簡便な申し込み方法や豊富なカリキュラム、安価な受講料に興味を引かれたという。盧さんは「スマートフォンのミニアプリで講座の申し込みができる上、複数のキャンパスから選べる。一部の人気講座の申し込みはスピード勝負で、1~2分で定員が埋まってしまう」と現状を紹介、1回の受講料は最も安いもので30元(1元=約21円)足らずで、低コストで興味ある分野に触れ、視野を広げることができると評価した。

 盧さんは、授業を何回か受けるうちに夜間学校が持つ気楽で自由な学びの雰囲気に魅了され、同市に来た当初に感じた違和感も和らいだという。「合肥で働き始めて間もない頃は自分の社交範囲が固定されていた。それが夜間学校を通じて同じ趣味を持つさまざまな業種の仲間と知り合うことができ、この都市に対する帰属感が強まった」と笑う。

 同校の講師陣には、心理療法士やカフェのオーナー、旅客機のチーフパーサーなどさまざまな業界の専門家が顔をそろえる。哲学を教える青年教師の徐(じょ)さん(29)は「体系的に哲学を学んだ経験のない多くの若者が、『自分はどこから来たのか』や『生命の意味とは何か』などの問題に関心を持っている。夜間学校のような場を通じて哲学を学ぶことで若者同士の交流や、生活、生命に対する思考が深まり、仕事または精神上のストレスを和らげることができる」と指摘。夜間学校を通じて参加者の精神文化生活が豊かになり、都市の文化的活力が刺激されるのは意義深いと感嘆した。

 同校の創設者である周経緯(しゅう・けいい)さんは、夜間学校は現代の若者にとって心のオアシスになっているとの見方を示し、「夜間学校という学びの場、社交の場を通じて、若い人たちが都市文化を体験する新たなスタイルを見いだし、この都市の生活がより一層面白いものになるよう手助けしたい」と語った。(記者/趙金正、栾若卉)

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