個人資産1億円以上の富裕層、日本では15世帯に1世帯…〈資産1億円〉を新NISA+仕事で築く方法【FPが解説】

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超高齢社会となった日本では、老後資産の形成に不安を抱く人が増えています。最近では新NISAで資産形成を目指す人が増えていますが、この制度でどれほどお金を増やすことができるのでしょうか。ここでは、新NISA+就労形態の工夫でゆとりある老後を目指す方法について見ていきます。FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏がわかりやすく解説します。

安心の老後のため「1億円」を準備したいが…

生徒:安心して老後生活を送りたいので、老後資金として1億円くらい準備したいと思います。どうすれば1億円までお金を増やすことができるのでしょうか?

先生:いまの時代、最短距離でお金持ちになる人は、投資で高いリスクを取るのではなく、仕事でお金を稼いで、稼いだお金を投資に回すという流れを上手につくる人だといえます。

生徒:投資だけでなく、仕事で稼ぐことも大切なのですね。

先生:人生のゴールを「幸福になること」だと考えましょう。その土台になるものはなんでしょうか?

生徒:うーん。お金、でしょうか…?

先生:それは「お金・仕事・愛情・友情」です。このなかでも、実は仕事が最も重要です。高齢化社会となり平均寿命が延びるなか、今後は日本社会でも「生涯現役」という働き方が当たり前になっていくでしょう。老後問題というのは「老後が長すぎる」という問題ですから、もっともシンプルな解決策は、長く働いて老後を短くすることです。人生100年時代には、60歳でリタイアすれば残り40年もありますが、80歳まで働けば老後は20年となります。

生徒:仕事で稼いだお金といっても、月収30万円くらいです。1億円まで増やすことはできますか?

先生:もちろん、若いときには、お金はほぼゼロでしょう。しかし、日本や欧米のような先進国では、生涯収入として1億円や2億円というお金を稼ぐことは意外と簡単です。社会は経済的に分断され、貧しい人たちが増えているといわれますが、その一方で富裕層も増えています。個人資産1億円以上を持っている富裕層は、アメリカでは5世帯に1世帯、日本でも15世帯に1世帯です。ただし、自分にとって最適な仕事を選ぶことが富裕層になるための前提となります。

これからの日本は「働き方」も大きく変わる

生徒:自分にとって最適な仕事はどうやって見つけるのでしょうか?

先生:最近は、ひとつの会社に滅私奉公する価値観がなくなり、転職も珍しいものではなくなりました。向いていない仕事をガマンし続けても、だれも評価をしてくれません。それではなんのキャリアにもならないので、試行錯誤を繰り返しながら、自分の好きな分野や得意分野を突き詰めていくことが重要です。

生徒:なるほど…。

先生:あとは、一生懸命働いて、生活コストを下げ、残ったお金を金融市場で運用するだけです。20代のうちから毎月3万円でも5万円でも、株式投資をコツコツと続ければ、60歳になったときには資産が1億円くらいになっているでしょう。

生徒:私は、フリーランスとしてWebデザインの仕事をしたいのですが、これでも1億円を作ることは可能でしょうか?

先生:これからは日本でもフリーランス化が進むと見ています。わかりやすいのは映画制作でしょう。監督や俳優から脚本、撮影、音楽に至るまで、ほぼ全員がフリーランスで、作品が完成したら解散してバラバラになります。クリエイティブな仕事は、このようなプロジェクト単位の働き方に変わっていくと思います。ただし、フリーランスだけで映画制作はできません。多額の資金や大勢のスタッフとの契約を管理し、映画館での上映やネットでの配信を行なうためには、バックオフィス的な事務管理を行う映画会社が必要です。このように、クリエイティブな仕事と事務管理の仕事が分離していくことでしょう。

生徒:でもフリーランスとして働くと、人間関係が希薄になっていく気がします。

先生:人間関係でもっとも大切なのは自分の家族です。愛情のある家族さえ確保できれば、あとの時間は仕事や趣味、勉強などに使ったほうがいいでしょう。もしかしたら、今後は従来のような「友だち」という存在も、なくなっていくかもしれません。

新NISA、銘柄研究より「インデックス・ファンド」の活用を

生徒:2024年から始まった新しいNISAでは、どのように投資すればよいでしょうか?

先生:最適な投資はインデックス・ファンドの積み立てでしょう。『会社四季報』を読んで銘柄研究をしたり、取引時間中にモニターで値動きを監視したりするのは、時間の無駄です。インデックス・ファンドを毎月定額積み立てるのなら、最初に設定してしまえば後は何もする必要がありません。ノーベル賞学者が提唱した現代ポートフォリオ理論では、リスクとリターンのバランスを考えれば、インデックス・ファンドがもっとも投資効率がよいと証明しています。これにタイパ(タイム・パフォーマンス)の観点を加えれば、その優位さは圧倒的です。

岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

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