【連載】インカレ直前特集 第6回 宮崎彩音×葛西春香

全日本学生選手権(インカレ)直前特集・第6回はノルディックコンバインド部門の宮崎彩音(スポ3=長野・飯山)と葛西春香(スポ2=北海道・東海大付札幌)。日本国内はもちろん世界を舞台に活躍されているお2人に競技に対する思いを伺った。

※この取材は10月13日に行われたものです。

「彩音さんがいたから私たちは早稲田に入った」(葛西)

――お互いに紹介をお願いします

宮崎 葛西春香は双子なんですけど、双子って結構似てるじゃないですか、葛西姉妹は双子だけど、2人ともすごい個性があって全然違うんですよ。そこがおもしろいです。春香はサバサバしているというか、かっこいい性格をしています。昨日も2人して全く同じ服を着てたんですよ。そこが双子らしいなというところもあります。競技に対してもまっすぐで努力家です。

葛西 彩音さんは小さいころ、中学生のころからずっとお世話になっている先輩で、私たちの面倒をたくさん見てもらっています。小学校4年生から大学までずっと一緒に面倒を見てもらって、おもしろくて本当に優しくて大好きな先輩です。バナナとあんこが大好きです(笑)。

宮崎 大好きです(笑)。

葛西 競技に対するところも本当に尊敬していて彩音さんがいたから私たちは早稲田に入りました。

――普段から交流はありますか

宮崎 全日本で合宿をした際にお買い物に行くんですけど、春香と一緒に行くことが多くて、今着ている服も一緒に買いに行きました。

――この夏のいちばんの思い出はありますか

葛西 本当に全然何もしていなくて、北海道に帰って大会に出て風邪をひいて合宿に出られなくなりました。普段はあまりひかない風邪をひきました。

宮崎 私は成人式がいちばん思い出です。

葛西 あ、私前撮りしたんだ。着物を着ました。

宮崎 かわいかった、めっちゃ。

――お2人が初めて会ったのは小学生の時ですか

葛西 はい、そうですね。

――その時の印象を覚えていますか

葛西 印象か…、大人だなと思いました。

宮崎 本当に?

葛西 あと、一緒にアイスを食べました。

宮崎 食べたっけ、懐かしい。本当に小学生なので記憶にあるかないかくらい一緒にいます。全日本合宿とか一緒にいっぱい合宿もしました。もう全部が思い出です。

――スキーを始めたきっかけを教えてください

宮崎 私は保育園のころにずっと空を飛びたいという願望があって、それでスキーをやっていた友達がスキージャンプを始めて、そこにちょっと顔を出してみたら「え、これ空飛んでるじゃん」と思ってそこから始めました。

――最初からコンバインドをやられていたんですか

宮崎 はい。長野はスキージャンプをやればコンバインドもやるみたいな感じでした。みんなそうだよね、北海道は違うのかな。

葛西 北海道は私たちの年はみんな一緒にクロカンをしていたんですけど、下の子たちはクロカンはしていなかったので、バラバラですね。

――葛西さんのスキーを始めたきっかけを教えてください

葛西 私は父がコンバインドの選手で父の妹が女子ジャンプのパイオニアのような選手でした。父が飛んでいる姿は全く見たことないんですけど、父の妹、叔母がジャンプを飛んでいる試合に応援に行っていました。双子の片方(葛西優奈、スポ2=北海道・東海大付札幌)がジャンプを始めると言って、私はやるつもりはなかったんですけど、練習について行った時にスキーを履いて体験をして気づいたらやっていました。コンバインドを始めた年はクロスカントリースキーに乗ったことなくて、小学校3年生でジャンプを始めたんですけど、小学校4年生の時にクロスカントリースキーに乗り始めて、コンバインドを始めました。

――早大を選んだ理由を教えてください

宮崎 やっぱり早稲田はコンバインドの選手の方がたくさんいて、渡部暁斗(平22スポ卒=現北野建設)さんや河野孝典(平3人卒)さんなどコーチの方も早稲田出身の方が多いです。それでずっと早稲田大学に行きたいなという思いがあり、早稲田にしようと決めました。勉強ももちろんスポーツを学びたくて、スポーツ科学部に入学したいと思っていました。

葛西 私は彩音さんが早稲田を選んで、女子のコンバインドってまだ人が少なく、その中でも早稲田大学で一緒に練習できるなということと、3つ上の先輩ですごくお世話になった方がいらっしゃって、その先輩が早稲田に入って良かったということをたくさんお話してくださったので、早稲田大学を選びました。

――現在の調子はいかがですか

宮崎 私は大学1年生のころに前十字(靭帯)を切っていて、そこからずっと膝の調子があまり良くないです。昨シーズン終わった後にまた手術をしたんですけど、今シーズン、冬はシーズンが復帰になるんですけど、自信よりは不安の方が多いです。競技をしていて楽しいなと思えるように競技をしたいなと思っています。

葛西 昨年の今頃と比べるとジャンプはスペシャルジャンプの試合で優勝でき、かなりいい感じになってきていると思います。この状態を崩さずにシーズンインに持ってこれたらと思います。

宮崎 春香はめっちゃジャンプうまいんですよ。スペシャルジャンプでも戦えるんじゃないかというレベルでうまいです。

――お2人はジャンプとクロスカントリーどちらかが得意というのはありますか

宮崎 私はジャンプの方が楽しいっちゃ楽しいです。

葛西 私はジャンプの方が得意だなってずっと思ってきたんですけど、昨シーズンに関してはジャンプよりクロカンの方が伸びたなと思うシーズンでした。今年、このいい状態をシーズンにもってこれれば自信をもってシーズンインして戦えるかなと思います。

――練習の中でジャンプとクロスカントリーのどちらをとくに重視しているというのはありますか

宮崎 私は夏のシーズンはずっと飛べなかったので走ったりローラーしたりばっかりだったんですけど、ここから徐々に飛べるようになってくるので、もう少しジャンプの方に偏ってもいいのかなと思います。

葛西 私は今年は本当にジャンプの本数少なく絞って練習しているので、クロカンとか走りの方が練習の量はだいぶ多いかなと思います。

――選手によって練習の比率は変わるんですか

葛西 冬だと飛びたくても飛べない、天気やジャンプ台の状況もあるので、選手によって調整したり変えたりすることもできます。でもクロカンの方が多いですよね、割合的には。

宮崎 割合的にはそっちの方が多いと思います。

「強さの秘訣」(宮崎)

――昨シーズンの目標の達成度や満足度はいかがですか

宮崎 私は棚ぼたでユニバ(ユニバーシティゲームズ)に出た感じだったんですけど、その中でもジャンプのコンディションを整えられたおかげでいいジャンプができました、ユニバでは早稲田3人(宮崎、葛西春香、優奈)揃って表彰台に登れたのがすごく印象的で、目標達成できたのがすごくうれしかったです。

葛西 私もユニバで金メダルを取って3人で表彰台に登れたことは本当にうれしかったです。あとはいちばん目標にしていた世界選手権で銅メダルを取れて、2年前は世界選手権に出場できなくて、本当に頑張って良かったなと思ったしこれからも頑張ろうと思えました。W杯では表彰台に登れなくて、このまま世界選手権でメダル取れないのかなと思ったんですけど、リラックスして臨めたので良かったかなと思います。

――ユニバーシティゲームズの思い出はありますか

宮崎 湖の上を歩きました。

葛西 すごい空きれいでしたよね。

宮崎 湖が凍っていてたまにバキバキっていうんですけど、それが楽しかったですね。

――昨シーズンの収穫や課題で今シーズンに活かしたい点を教えてください

宮崎 昨年はけがしていたこともあって走りが全然だったんですけど、今年はクロスカントリーのクラシカルもやったり、登山に行ったりしたのでフィジカルは鍛えて、ここは頑張ってきたことかなと思います。

葛西 昨シーズン初めてW杯を最初から最後まで回ったことで、自分が感じたことはたくさんありました。シーズン長いんですけど、今シーズンは良かったことも悪かったこともしっかりして、バランスを崩さずに成績を出せるようにしたいなと思います。

――今年の夏はどう過ごされていましたか

宮崎 私はもうリハビリの毎日でしたね。その中でも夏休みは持久系もできるようになったので、リハビリと一緒に持久系も頑張りました。

葛西 休み中は地元の札幌に帰っていて高校で練習していた公園を走ったり、双子の片方と一緒にトレーニングしたり、白馬(長野県白馬村)で合宿したりしました。合宿は2回あって、1回目は風邪をひいて行けなくて、2回目はインターバルとかきつい練習だったんですけど、乗り越えました。

――チームの雰囲気はいかがですか

宮崎 部員はみんなそれぞれ本当にいい意味で個性があると思います。

葛西 大学に入ってみんな本当にすっごい練習するから焦ります。すごくいい刺激になってるなと思います。本当にみんな練習してます。

宮崎 部屋にいるのがちょっと罪悪感なんですよ。それくらいみんな練習してます。

葛西 走りに行ったり学校のトレーニングルームに行ったり、本当にみんなずっと練習してます。

宮崎 それが強さの秘訣なんだろうなと思います。

――インカレの注目選手はどなたですか

宮崎 ランナー部門の山崎優風(スポ1=長野・飯山)です。同じ飯山高校出身なんですけど、彼女は本当に頑張り屋さんで、いい子です。競技もめちゃくちゃ強いし、やっぱり注目できるなと思います。

葛西 絞れないです。ランナー部門もみんな勝ちそうじゃないですか。千佳(本田千佳、スポ4=秋田・花輪)さんも優勝しそうだし、本当にみんなすごいです。

――ご自身の注目ポイントはどこですか

宮崎 今まで着地で失敗していることが多かったので、テレマークを見てください。

葛西 2種目出るので、ジャンプ、コンバインドのどっちも優勝できるように頑張ります。

宮崎 春香と優奈が出場できるってなったら大量得点なんですよ。

葛西 スペシャルジャンプでは1位から4位までいける可能性があるので、そこは何とかして取りたいです。

――今シーズンの目標を教えてください

宮崎 私はこのままいくと国内戦なので、全日本選手権で優勝を目指して頑張ります。もちろんインカレもです。

葛西 私は今シーズンW杯の予定なので、表彰台に複数回登ることと、まだ優勝していないので優勝することを目標にしています。

――インカレの具体的な目標をお願いします

宮崎 春香と優奈という強敵がいるんですけど、昨年は真知子(久保田真知子、スポ3=長野・飯山)に負けているので、今年は優勝したいです。

葛西 スペシャルジャンプとコンバインドで二冠できるように頑張りたいです。スペシャルジャンプでは1、2、3、4位、コンバインドでは1、2、3位(早大で)独占できるように頑張りたいです。

――色紙に言葉を書くとしたらどんな言葉を書きますか

宮崎 情熱の「熱」です。私が教えていただいている早稲田のOBのコーチが、「競技は情熱と哲学を持って」とメンタルトレーニングで言われているので、選びました。

葛西 笑顔の「笑」です。シーズンは長いんですけど、辛いこともいっぱい出てくると思うので笑顔を忘れずに、シーズンを戦い抜いて最後は笑っていたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 堀内まさみ)

◆宮崎彩音(みやざき・あやね)

長野・飯山高出身。スポーツ科学部3年。ノルディックコンバインド部門。ハマっていることはツムツム。「一周回ってブーム」。昨年のインカレではスペシャルジャンプにも出場され2位。表彰台を早大で独占し、チームに大量得点を持ち帰りました。今シーズンけがから復帰した宮崎選手の「テレマーク」に注目です!

◆葛西春香(かさい・はるか)

北海道・東海大付札幌高出身。スポーツ科学部2年。ノルディックコンバインド部門。練習している時によく聞くのはback number。昨シーズンは1年生ながら多くの世界大会で活躍された葛西選手。今シーズンもその活躍から目が離せません!

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