65歳からは「年金上乗せ」の収入源に…リタイア後にもとれる「資格」3選

(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の生活を支えるには「年金」だけでは心許ないと感じる人もいるでしょう。そこで本記事では、伊藤FPオフィス代表の伊藤貴徳CFPが、年金プラスαも見込める老後に役立つ「おすすめ資格」を3つ、厳選して紹介します。

1.医薬品の登録販売者

「登録販売者」とは、医薬品販売の専門資格のことをいいます。

この資格を保有することで風邪薬や鎮痛剤などの一般医薬品のうち、第二類・第三類の医薬品を販売することが可能です。

一般医薬品を販売するドラッグストア・調剤薬局で働く場合は重宝される資格となります。加えて、最近では家電量販店やホームセンター、スーパーマーケットやコンビニなど、さまざまなところで一般医薬品が販売されるようになったため、活躍の場が増えています。

また、ドラッグストアや調剤薬局では、登録販売者資格を保有している方には資格手当を設けているところもあります。金額はさまざまですが、およそ月1万円〜1万5,000円の手当となっていることが多いようです。

収入アップだけでなく、身近な薬について詳しくなることで、病気やケガのリスクが年々高まるセカンドライフにおいて、実践的に役立てることができるでしょう。

試験について

登録販売者の資格は比較的取得しやすいです。学歴や年齢などの要件はなく、誰でも受験することができます。筆記試験に合格すると登録販売者として登録することができます。

2.日商PC検定

近年は、さまざまな業種で業務のデータ化、ペーパーレス化が進んでおり、PCスキルは必要不可欠なものとなりました。

日商PC検定は、日本商工会議所が行うPCの検定試験です。素早いビジネス文書を作成できるスキルの習得を目的としています。

ビジネスにおける文書作成ソフトの操作方法を身につけることができるため、文章の作成やデータ入力などが必要な業務ではもちろんのこと、勤務先でのちょっとしたPC操作が必要な場面においても、この知識を発揮することができるでしょう。

PC操作を行う仕事は、時給が高い傾向もあるので、収入アップを見込むこともできます。

試験について

試験は、学科と実技があります。どちらも自分で選んだ試験会場のパソコンから受験します。

難易度の高い順に1級、2級、3級、Basicとありますが、これまでパソコンの経験がないという方はBasicからトライしてみましょう。3級、Basicは、仕事などでオフィスソフトを使用したことがあれば合格できる人も多い難易度であるため、これまでサラリーマンとして培ってきたPCスキルを、まずは腕試しとして受けてみるのはいかがでしょうか。

3.FP

FPとは、「ファイナンシャルプランナー」の略で、日本FP協会がその活動を実施しています。

FPの資格勉強に取り組むことで、お金に関する幅広い知識を得られるため、結果として自身の資産管理や運用に役立てることができます。また、FPとして独立して、顧客のライフプランの相談や資産形成アドバイスを行う方もいます。

筆者は、自身のFPとしての経験からも、FP資格は「生きたお金の知識を学べる資格」と考えています。次頁でその理由を詳しく見ていきましょう。

FPは、具体的にどんなことを学べる?

FPとして学ぶ分野は6つあります。覚える分野は多いですが、どれも普段の生活に役立つものばかり。具体的にどんなことを学ぶのかご紹介します。

(1)ライフプランニング

・ライフプラン表を作成するための知識

・公的年金や雇用保険、健康保険などの社会保障制度について

・住宅ローンについて

収入アップには直接結びつきませんが、ライフイベントが作成できるようになると、ライフイベントの具体的な支出額がわかり、節約意識が上がりやすいというメリットがあります。家計の節約できる箇所を可視化することで、支出を減らし、セカンドライフの家計にゆとりを持つことができるのです。

また、社会保障制度の内容は賢く活用することで年金収入を増やしたり、公的サービスを受けることで支出を減らしたりすることも可能です。日常生活の中で「知らなかった」で損してしまうことは意外にも少なくありません。そんな機会は正しい知識で減らしていきましょう。

(2)リスクと保険

・生命保険、損害保険などの民間保険の適切な知識

自身の保険加入や見直しの際、担当者の勧められるままでなく、自分の価値観にあった損得基準で選べるようになります。これにより、必要なところに必要なだけ保障を準備し、無駄な支出を減らすことができるでしょう。

(3)金融資産運用

・金融商品についての知識

たとえば積立NISAの運用に必要な投資信託の知識なども身に着けることができます。リスクを適切に把握し、効率的な資産運用ができれば、大きなプラス収入を見込める可能性が高まります。

(4)不動産

・不動産取引、法令(不動産の評価方法、土地の取引方法、不動産の法律)についての知識

(5)タックスプランニング

・税金の種類について

・簡単な税金の計算方法

(6)相続

・相続についての知識

具体的には、相続税の計算方法、相続人の範囲、遺言書の種類などについて学ぶことができます。

FP資格を取ってよかった!~Aさん(65歳/男性)の体験談~

定年退職したあと、時間ができたので、なにか新しく学べるものはないかとネットでいろいろ見てみました。そこで見つけた「FP」資格。自身のマネーリテラシーの低さから、老後のお金について漠然とした不安を持っていたので、経済の勉強のためにと、FPの勉強を始めました。これまでまったく畑違いの仕事をしていたので、聞きなれない単語が多く、難しく思えましたが、勉強を続けていくと、どれも実生活に役立つものばかりで驚いています。

たとえば現在加入している保険の内容をしっかり理解できるようになり、現在受給している年金がどういう仕組みになっているか、他人に説明できるようになりました。これまでお金のことについて学ぶ機会がなかったので、ニュースなどもわかることが増えました。

どんな試験を受けるのか?

FP試験は難易度順に1級、2級、3級となっています。まずは3級の合格を目指しましょう。

FP3級は学科試験と実技試験があり、どちらもマークシート方式です。

学科は正誤問題、実技は選択問題で、どちらも6割以上の正解で合格となります。

2024年4月からは、ペーパー試験からテストセンターでのパソコン受験となります。これまでは1月、5月、9月と試験日は年3回でしたが、今後は最短で申請日の3日後から受験をすることができるように。受験日を自由に設定できるようになることで、さらに受験者者数は増えることでしょう。

FP資格を取得するための勉強方法

FPの勉強は実生活に応用できてこそ効果を発揮します。テキストを読み込み、知識を取り入れることも大切ですが、実際に問題を解くことで生きた知識を身につける勉強方法がおすすめです。

日本FP協会のホームページで直近3〜4年分の過去問題と解答が無料でアップロードされているので、そちらを活用することをおすすめします。

■試験問題・模範解答│日本FP協会

https://www.jafp.or.jp/exam/mohan/#Section01

ただし、回答には解説がないので、わからない部分はテキストを読んで理解を深めたり、市販の過去問題集にて学習しましょう。

<参考>

一般社団法人 日本医薬品登録販売者協会HP

日本商工会議所 日商PC検定HP

日本FP協会HP

伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス 代表

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