ラファへの攻撃は「大虐殺」となる恐れ 国連人道トップが強く警告

イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区南端の都市ラファを攻撃していることについて、国連の高官が13日、「大虐殺」につながりかねないと警告を発した。

国連のマーティン・グリフィス事務次長(人道問題担当)は、ガザにいるパレスチナ人はすでに「激しさと残忍さとその範囲において、他に類を見ない攻撃」に苦しんでいるとした。

また、ラファへの侵攻は「壊滅的な」結果をもたらすだろうとした。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラム組織ハマスの戦闘員らがラファに潜伏しているとし、それらの勢力を打倒すると宣言している。

異例の強い声明

グリフィス氏はこの日、異例の強い言葉による声明を発表。100万人以上が「ラファに詰め込まれ、死を目前にしている」とした。また、人々は食料も医薬品もほとんど手に入れられず、「安全な場所はどこにもない」とした。

さらに、イスラエルがラファに侵攻すれば、「すでに危うい人道支援活動を途絶えさせる」ことになると訴えた。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長の報道官を務めるステファン・ドゥジャリク氏は、BBC番組「ニューズアワー」で、国連はイスラエルからラファに関する避難計画を受け取っていないと説明。「国連はいかなる強制避難にも加担しない」と述べた。

エジプトとの境界にあるラファは、今回の戦争前には約25万人が暮らしていた。イスラエルがガザ住民に南部へ避難するよう指示してからは、推定150万人が避難生活を送っているとみられている。

多くは絶望的な状況でテント暮らしをしており、行き場がないと訴えている。

イスラエル軍はここ数日、ラファを激しく空爆している。ハマスが運営するガザ保健当局によると、12日には少なくとも67人が殺害された。

休戦交渉が再開

グリフィス氏はまた、ガザでは法と秩序が崩壊しており、人道支援活動に当たる人々が「銃で撃たれ、銃を突きつけられ、暴行され、殺された」とした。

こうしたなか、イスラエルとハマスの休戦交渉がエジプト・カイロで再開された。アメリカ、イスラエル、エジプト、カタールの高官らが13日に会談。国際社会としてイスラエルに対し、ラファを侵攻しないよう圧力を強めている。

グテーレス国連事務総長は、会談がうまくいき、イスラエルによるラファ攻撃が回避されることを望むとした。

アメリカのジョー・バイデン大統領は、民間人は保護されなくてはならないとイスラエルに警告している。イギリスのデイヴィッド・キャメロン外相も、ラファを攻撃する前に「立ち止まって真剣に考える」ようイスラエルに求めている。

ハマスの戦闘員らによる昨年10月7日のイスラエルへの襲撃では、少なくとも1200人が殺害された。

これを受けてイスラエルは、ガザ地区で報復作戦を展開。ガザ保健当局は、女性や子どもを中心に2万8400人以上のパレスチナ人が殺され、6万8000人以上が負傷したとしている。

(英語記事 Israel Gaza: UN warns attack on Rafah could lead to 'slaughter'

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