上三川母親殺害・遺棄事件・裁判員裁判の初公判 起訴内容について認否を問われ「被告黙り込む」

 2022年3月、上三川町の県営住宅で頭を刃物で切られるなどした54歳の女性の遺体が見つかった事件で、殺人や死体遺棄などの罪に問われている女の裁判員裁判の初公判が、14日に宇都宮地方裁判所で開かれ、被告は一部の起訴内容について黙り込みました。

 殺人や死体遺棄などの罪に問われているのは、上三川町天神町の自称イラストレーターの女被告(30)です。起訴状などによりますと、被告は2022年2月17日ごろ、上三川町の県営住宅の室内でなた状のナイフを母親(54)の頭や顔などに複数回振り下ろして殺害し遺体を自宅のベランダに遺棄したなどとしています。

 14日の初公判で、被告は裁判長から殺人と死体遺棄の起訴内容について認否を問われると黙り込みました。

 続いて行われた冒頭陳述で検察側は「現場は被告と母親の2人だけで暮らす自宅であり、死体を毛布でくるむために使った粘着テープから被告の指紋が検出されている。精神鑑定の結果も問題なかった」などと説明し、被告が母親を殺害して遺棄した、完全責任能力があったと指摘しました。

 一方、弁護側は、犯行現場が集合住宅の1階でカギが掛かっていない日があったことなどから第三者による犯行を否定できないとしたうえで「被告は犯人ではない。仮に犯人だったとしても責任能力は認められない」などと無罪を主張しました。

 この裁判では、被告が殺害したかどうかを問う犯人性と責任能力の有無、それに刑の重さが争点となる見通しです。

 裁判は審理を経て、3月14日に判決が言い渡されます。

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