河童のガジロウ“発見”から10周年の兵庫・福崎町 商工業も盛んで豊かな自然も魅力〜尾崎吉晴町長

兵庫・福崎町の魅力について語る尾崎吉晴町長(ラジオ関西スタジオにて)

兵庫県福崎町の尾崎吉晴(おさき・よしはる※)町長が、このほど、ラジオ関西(兵庫県神戸市)の生番組に出演し、「妖怪のまちとして認知度が上がった福崎町は、商工業も盛んで、自然も豊か」と、町の魅力について語った。

【写真】福崎町内には21の妖怪ベンチがあり、写真スポットになっている

福崎町は兵庫県の中央部からやや南西寄りに位置し、東西約10キロメートル(以下、キロ)、南北約12キロ、面積約46平方キロで、人口は約1万9000人(2023〈令和5〉年12月31日時点)。元々は農業中心の町だったが、1973(昭和48)年から翌年にかけて、播但連絡道路と中国縦貫自動車道が交差する福崎インターチェンジが完成し、飛躍的に交通の便の良い町に。尾崎町長は「そのおかげで、工業団地が町の東西に造成され、大型店舗も進出してきて、今の福崎町ができている」と語った。また、民俗学者・柳田國男の生家があることから、妖怪によるまちおこしが進められている。

町の魅力について聞かれた尾崎町長は「商工業が盛んである一方で、自然豊かなところ」と話し、特に県下八景に選ばれている「七種(なぐさ)の滝」や、町の最北端にある関西百名山のひとつ「七種山(なぐさやま)」がイチ押しスポットと紹介。七種山は播磨国風土記に登場する由緒ある山で、「ハイキングより厳しいけれども、登山というほどでもないお手軽なコース」。また、町の最南東部にある「春日山(かすがやま)」は、豊臣秀吉の中国征伐で毛利方に味方し滅ぼされた後藤家築城の「春日山城」跡があり、15分ほどで山頂まで登れて町内を一望できる。尾崎町長は「町の面積の45%が山林。そんな豊かな自然も魅力」と話した。

福崎町が抱える課題について、尾崎町長は「全国的に共通すると思うが、人口減少、少子高齢化。政府の『まち・ひと・しごと総合戦略』に基づいて対策をしているが、特効薬はないと考えいる」と話した。その上で「福崎町の特徴を活かして、魅力あるまちづくりを進めていくことに尽きる」と強調した。

そのための取り組みとして、2023(令和5)年は、新しいイベントを開催。国連が定めた9月23日の「手話言語国際デー」には、第1回全国手話ダンス甲子園の決勝大会を町内で開催し、尾崎町長は「手話とダンスは非常に相性が良く、見ている方も引き込まれた」と話した。また、冬のイベントがなかったため、12月23日に「クリスマスFukuランタン」を実施。4色のLEDランタンを冬の夜空に飛ばした光景は、「非常に感動的だった。いずれのイベントも毎年続けていきたい」とした。

福崎町は、いまや「妖怪のまち」として広く知られるようになった。日本で初めて、妖怪を体系的に研究した民俗学の父・柳田國男の生家が残り、現在もその功績を伝えている。尾崎町長は「町内には、妖怪と一緒に写真が撮れるスポット『妖怪ベンチ』が21ある。これらの妖怪は全て、柳田國男氏の著書『妖怪談義』などに出てくるものばかり」と紹介した。

今年は、辻川山公園の池から飛び出す河童のガジロウが「発見」されて10年の節目を迎える。それを記念して「ガジロウの絵コンテスト」の作品を募集したところ、300点以上の応募があり、最優秀賞1点、優秀賞2点、入賞6点が決定した。優秀な作品を含め全ての作品が、辻川観光交流センターに展示される予定(福崎町ホームページより)。また、ガジロウ漫画本の発売や「ガジロウパフェコンテスト」など、多彩な企画を準備している。

河童のガジロウは、JR福崎駅前にある円柱形の水槽と辻川山公園で出会えるが、尾崎町長は「その間を、市川の底を泳いで7分間で移動している。どちらかで登場していれば、もう一方で出てくることはない」と、同一人物ならぬ、同一河童であることも明かした。

福崎町観光には「ガジPod(ポッド)」という2人乗りの電気自動車や、電動自転車のレンタルが便利。特産の「もちむぎ」には、水溶性食物繊維のβグルカンが豊富に含まれていて、整腸作用や血糖値を下げる効果が期待される。加工された「もちむぎ麺」などは、観光施設「もちむぎのやかた」で食べることができ、お土産も買える。尾崎町長は「妖怪に会ったあとはもちむぎを堪能して。ぜひ福崎町観光を楽しんでほしい」と締めくくった。

※尾崎吉晴町長の「崎」はたつさき「吉」は土の下に口
※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』より

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