『ブギウギ』田中麗奈&藤間爽子の撮影裏をCPが明かす タイ子再登場の経緯も

NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。

昭和23年、「東京ブギウギ」が大ヒットする中、在日米軍将兵を相手にする街娼が社会問題になっていた。スズ子は「事情がわからないから」と彼女たちを否定も肯定もしていなかったが、第93話では事実を改ざんされた雑誌記事を読んだラクチョウのおミネ(田中麗奈)が、あろうことか楽屋に乗り込んでくる。

おミネは、有楽町界隈を取り仕切っている夜の女。制作統括の福岡利武は、彼女たちを描くことに批判の声が上がるのではと不安もあったというが、笠置には彼女たちと心を通わせた史実があり、「素敵なエピソードだと思いましたので、なんとかできればと考えました」と打ち明ける。

おミネを演じるのは田中麗奈。福岡は「懐の深さと、情にほだされる感じのある難しい役ですが、演出の福井充広が以前、田中さんとご一緒していて『この役は田中麗奈さん以外いない』と。僕自身も、田中さんに芯の強い女性を演じていただけたら面白いんじゃないかなと思い、ご相談しました」と起用理由を明かす。

「田中さんは本や映画でいろいろと勉強、研究をされて、衣装合わせにも長い時間をかけておミネというキャラクターを作っていかれました。すごく難しい役なので緊張されていらっしゃいましたが、“情の深さ”を意識して演じていただけて、とても良かったと思います」

第94話では、スズ子が記事の誤解を解くためおミネのもとへ。ひと悶着ありながらも部屋に通されたスズ子は、自身の生い立ちを語り、「ワテかて必死や」と彼女たちに訴える。スズ子の話を聞くおミネは片足を投げ出し、生足をむき出しに。その振る舞いから、男気ある彼女の人物像が明確化した。

とはいえ、本作はNHKの朝ドラ。現場では「足、大丈夫でしょうか」と気にするスタッフもいたというが、福岡は「私はあまり気にならなかったんですよね。どういう姿で座るかは、田中さんと演出の福井が話し合って決めていました。田中さんには、おミネのキャラクターがうまく出せれば、という思いがあったと思います」と振り返る。

すでに出来上がっている撮影チームに途中参加となった田中だが、現場ではこれまで主演として走り続けてきた趣里の体調を常に気遣っていたといい、「『しっかり休めてる?』『本当に大変だから無理しちゃダメよ?』と、先輩としてとても心配していらっしゃる姿が印象的でした」と話した。

また第92話では、スズ子の幼なじみ・タイ子(藤間爽子)が再登場。タイ子はスズ子が気にかけていた靴磨きの少年・達彦(蒼昴)の母親だったのだ。

かつて芸者をしていたタイ子が「(夫は東京から)出張でこっち来るたび、うちを呼んでくれんねん」と語った際には、視聴者から「妻子持ちなのでは?」などと心配の声も上がったが、実際には幸せな結婚生活を送っていたという。だが、戦争で母と夫を亡くしたことで状況は一変。タイ子は「すみませんけど、帰っていただけますか?」とスズ子を突き放す。

あまりに切ない再会となった2人だが、福岡は「笠置さんには靴磨きの少年に寄り添ったという史実もありますし、タイ子のエピソードと繋げられるんじゃないかと思いました」と展開の経緯を説明する。

さらに「趣里さんと藤間さんは久々の再会だったので、『元気~?』とお互に懐かしんでいらっしゃいました」と現場での様子を語り、「場面がなかなかヘビーなので、藤間さんはとても緊張されていて。(スズ子と別れてから今までの)間が描かれていないのですごく難しいところですが、想像力を働かせて熱演いただけました。リハーサル時から、声をかけられないくらい集中していらっしゃいましたし、本当に素晴らしいお芝居だったと思います」と藤間の表現力を称賛した。

第95話では、「夢叶えたスズちゃんとウチじゃ、天と地や」と嘆くタイ子。だがここは、日本中に元気を届ける福来スズ子の腕の見せどころ。幼少期にも仲違いを経て絆を強くした2人の心が、再び通い合う未来を信じたい。

(文=nakamura omame)

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