2千年前の中国流リメイク 欠けた玉琮を玉竜に

2千年前の中国流リメイク 欠けた玉琮を玉竜に

竜首文竜形玉飾。全身に蟠虺(ばんき)文と竜首文が浮き彫りされている。(資料写真、南昌=新華社配信)

 【新華社南昌2月15日】古い物をリメイクし、廃品を宝物に変えることは現在流行の生活理念であり、人々の暮らしの知恵を体現している。2千年以上前の中国の職人たちもこのような理念の下、壊れた玉器に手を加え、時代や生活に沿う物へと作り変えていた。

 江西省南昌市の漢代海昏(かいこん)侯国遺跡博物館が所蔵する盤竜(ばんりゅう、とぐろを巻く竜)を模した立体的な竜形玉飾は、武帝の孫で第9代皇帝に即位するもわずか27日で廃位された海昏侯劉賀(りゅう・が)の墓の主椁室(棺を収めた部屋)から出土。銅製の杵の装飾として良好な状態で保存されていた。和田白玉(ホータンはくぎょく、現在の新疆ウイグル自治区ホータン地区産の軟玉)製で、尾の部分は半円を描き、胴体は両側の湾曲した足と直角をなし、全体の輪郭は外側が四角、内側が円形で、旋回して天に昇る竜の姿に酷似している。背面には穴の開いた四角い突起もあり、他では見られない特殊な形状をしている。

 海昏侯墓発掘チームのリーダーを務める江西省文物考古研究院の楊軍(よう・ぐん)研究員は「玉器の本体は初期の玉琮(ぎょくそう、内部が空洞の筒型玉器)で、遅くとも戦国時代初期までに制作され、流離変転の末、数百年後に劉賀のものとなった。これがこの玉器の最も興味深いところだ」と説明。玉琮の形状に基づき玉竜に作り変えたのは当時の職人の独創性であり、劉賀が形状を吟味して銅の杵に取り付けるのにちょうどよいと考え、墨丸(球状の墨)をする杵と鉢の一部にしたのも彼が創意に富み、発想豊かな収集家であったことを示していると述べた。

2千年前の中国流リメイク 欠けた玉琮を玉竜に

竜首文竜形玉飾のリメイク過程を示す図。(資料写真、南昌=新華社配信)

 玉琮は内側が円形で外側が方形で、中国古代の玉器の中でも神秘性を持つ礼器だった。時代の変化の中で荘厳な礼器としての機能は失われたが、片隅に追いやられることなく中国のトーテム信仰の一つである竜と結びつき、長い身をうねらせた玉竜に姿を変え、人々に新たな美しさと祝福をもたらした。

 古代の玉器がリメイクされたのには二つの理由がある。一つは玉が貴重な材料であったことで、破損した玉器は度々別の器物に作り替えられたほか、当初は無地だった器物も後世に文様が施された。このような改変は新石器時代に既に普遍的に行われ、商(殷)代と周代にも多く見られたが、戦国時代以降は徐々に少なくなった。もう一つは人々の意識の革新で、思想が制限された奴隷社会で玉琮はこの上ない権力の象徴とされたが、春秋戦国時代になると礼器を象徴とする王権は人を束縛する力を徐々に喪失。人々の思想も旧制を打破し、古きを捨てて新しいものを生み出し、物質として表現されるようになった。玉琮も社会情緒を反映する担い手の一つへと変化していった。(記者/袁慧晶)

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