【On The Move ➀ NYY】ポストシーズン進出を逃したヤンキースに足りなかったピース

2023年のヤンキースは、2016年以来の地区4位に転落し、ここ31年間で最低の勝率.506に終わり、6年続いたポストシーズン(PS)進出も途絶えた。その要因は明らかで、足りなかったピースをベストな選手で埋めることに成功した。

2023年のヤンキースに足りなかったピースが、打てる外野手(左打者)と、シーズンを通して投げ抜く投手だった。

ヤンキースの外野手といえば、2022年にリーグ史上最多の62本塁打を放った主砲、アーロン・ジャッジがいる。昨季は故障もあり、思うような数字は残せなかったが、ジャッジ以外で外野を守ったオスワルド・カブレラは115試合に出場して打率.211、5本塁打、29打点。もう1人のハリソン・ベイダーは84試合で打率.240、7本塁打、37打点と、外野手が補強のポイントになるのは明らかだった。

また、先発投手といえば、サイ・ヤング賞を満票で受賞したゲリット・コールがいるが、コール以外でシーズンを通して投げ抜き、規定投球回に達した投手は1人もいなかった。

そんなヤンキースがまず着目したのが、FAまで残り1年となっているパドレスのフアン・ソトだ。パドレスは多くの主力投手がFAとなり、有望な投手を獲得するためにはソトの放出は不可避だった。

当初はパドレスがソトの対価として多くのプロスペクトを要求したため、交渉は難航したが、ソトとトレント・グリシャムの両外野手に対して若手4投手と控え捕手を合わせた2対5でトレードが成立した。

ソトはメジャー6年目の昨季、全162試合に出場して打率.275、35本塁打、109打点、出塁率.410をマーク。出塁率はデビューから6年連続で4割を超えており、3年連続で四球数はリーグトップを記録するなど、選球眼の良さが大きな魅力である。ジャッジの前を打つ「2番・ライト」で起用されることが想定され、ジャッジの前に好打者を置くことで相手投手はジャッジと勝負するしかなくなる。必然的にジャッジの本塁打や打点が大幅に増加することが予想される。

投手で白羽の矢を立てたのは、カブスからFAとなったマーカス・ストローマンで、2年3700万ドルの契約で合意した。ストローマンはメジャー9年間で5度の2ケタ勝利をマークしており、昨季前半戦は112回2/3を投げて9勝を挙げたが、後半戦は故障もあり、シーズントータルでは27試合(うち25先発)で10勝9敗、防御率3.95に終わった。健康ならばローテーションを守り、30試合以上、180イニング以上は計算できる好投手だ。

これで先発投手は、エースのコールをはじめ、2番手にはカルロス・ロドン、そして3番手にストローマンが続くとみられている。

足りなかったピースをベストな選手で埋めることに成功したヤンキース。今季からまたPSの常連となり、2009年から遠ざかっている28度目のワールドシリーズ制覇を目指す。帝国復活に向けて、盤石の布陣で2024年シーズンに臨む。

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