農作物など販売、由布いきいき市が開設10年 生産者と買い物客の交流の場に【大分県】

新鮮な野菜などが並ぶ「由布いきいき市」=由布市挾間町鬼瀬
訪れた人たちと交流する佐藤重信さん(右から4人目)ら
手作りの建屋で野菜などを販売

 【由布】由布市挾間町鬼瀬の国道210号沿いで土日の午前中のみ農作物などを販売する「由布いきいき市」が開設から丸10年を迎える。手作りの建屋には市内外から多くの人が集い、買い物や談笑をする。地域活性化を目指した住民による取り組みは、交流の場として定着している。

 いきいき市は、同地区に住む元中学校長の佐藤重信代表(67)らが、2014年4月から始めた。佐藤代表が「地域に恩返しがしたい」と発案したのがきっかけ。他者とのつながりづくりや、高齢者が生き生きと過ごせる地域づくり、地産地消の推進などを目的にしている。

 販売するのは、地元住民らが持ち寄った農作物など。利益のためではなく、家庭菜園などで育てた野菜を「お裾分け」する気持ちで少量出品する。

 1月中は休んでおり、今年初めての営業となった3日は、午前9時半までに14人が出品。店内にはニンジン(100円)、サトイモ(150円)、ジャガイモ(200円)など新鮮な野菜が並んだ。常連客は「価格が安いのがいい。生産者の顔が見えるので安心感もある」と話す。

 近くに住む佐藤英雄さん(94)は「地域の人だけでなく、出入りする人たちに会うのが楽しみ」と話す。奥の一角では、野菜を納めに訪れた生産者や買い物客が、コーヒーを飲みながら話に花を咲かせていた。

 交流の中で、草刈りや剪定(せんてい)をしてほしい、田植えを手伝ってほしい―などの相談があると、できる人が応じるなど困り事の対応もしているという。

 佐藤代表は「あっという間の10年。高齢者を元気にするという目標は達成できたのではないか。今後は、培ったネットワークを生かして若い世代を応援する取り組みができれば」と話す。

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