人手不足感が全国一強い沖縄 中小企業が挑んだ起死回生の「妙手」を業界別リポート【2月10日~16日 タイムス+プラスから】

  「グッジョブ!」。私が沖縄タイムスに入社した2013年、当時の仲井真弘多知事の入庁時のあいさつはたいていコレでした。完全失業率が全国平均をはるかに上回り、長年の“雇用不況”にあえいだ沖縄。当時は求人の絶対数が足りず、県を挙げて雇用の場の拡大に注力していました。

 それが、まさか10年後にこんな時代が来ようとは。誰が一体、想像したでしょうか?

企業の8割超が正社員「不足」

 今、沖縄県内のあらゆる業種で人手不足が加速しています。

 沖縄総合事務局がまとめた法人企業景気予測調査によると、昨年12月末時点で従業員の過不足感を示す「従業員数判断指数(BSI)」は49.0に上り、過去最高の値に! 47都道府県で最も「不足」感が強い深刻な状況にあるそうです。(詳しい記事はこちら

 同じく昨年12月、県経営者協会が会員に実施したアンケートでも、正社員が「かなり不足」「やや不足」と答えた企業の合計が全体の86.3%に達しました。給与水準の引き上げをはじめ、各企業がさまざまな対策を講じています。(詳しい記事はこちら

県経営者協会のアンケートから

知恵を絞り出した「妙手」の数々

 どの企業もあらゆる手を打っているからこそ、並大抵の対策では、なかなか打開できない沖縄の「人手不足時代」。それでも、知恵を絞り、道を切り開いている中小企業が、沖縄にはたくさんあるようです。連載中の「人手不足時代の妙手」では、企業が生き残りをかけて挑んだ起死回生の秘策を業界別で詳しく報じています。

音声認識サービス「アレクサ」のスピーカー(奥)に作業内容を伝えながら働く従業員=2023年11月、うるま市の仲松ミート

 例えば、高齢者でも使いやすい音声入力のAIの仕組みを取り入れ、業務効率化と時給アップに結びつけた「まちのお肉屋さん」、うるま市の仲松ミート。「まず小さなことから」とできるDX化に取りかかり、要した費用60万円台で劇的な業務改善を遂げました。執行役員の仲本和美氏は「人やお金がない中小企業こそ、DX化に一歩踏み出すべきだ」と話します。

農業に不動産業、ホテルや運転代行業も!

 収穫シーズン中、24時間休みなく操業する製糖業も取り上げています。長年頼った季節工の人材は高齢化し、働き手がいない、設備更新の資金もない…。そんな中で次の一手を模索する動きとは?

 コロナ禍を経て活況にもかかわらず、不動産業は週末に出勤があることなどから求人への応募が低調だったといいます。そこで頼った、目からうろこの「働き手」とは? 企業も働き手もウィンウィン、社員の負担を減らし、客の満足度も高める“一石三鳥”につながった秘策を紹介します。

 この他にも、業種に関係なく、人手不足の対策に生かせるヒントが詰まった記事を用意しています。連載はしばらく続く予定。ぜひご注目ください!

 なかなか本格的な雨が降らず、沖縄では、ダムの貯水率に気をもむ日々がしばらく続きそうです。年度末が近づいて、忙しい日々を送る方も多いかと思いますが、心身の健康は全ての基本! 暑かったり、寒かったりと季節の変わり目は体調を崩しやすくもあります。くれぐれもお体に気を付けてお過ごしくださいね。

 今週のデジ編チョイスは篠原知恵が担当しました。

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