ヤマザクラのまち、未来へつなげ 児童が苗木植樹 茨城・桜川 

ヤマザクラの植樹をする児童ら=桜川市磯部

ヤマザクラの名勝地として知られる茨城県桜川市の磯部桜川公園(同市磯部)で17日、児童が育てたヤマザクラの苗を植える植樹祭が開かれた。児童や保護者ら約100人が集まり、苗木10本を植樹した。同市の学校で育てたヤマザクラの苗を、児童の手で同公園に植樹するのは初めて。

同市出身で歌手・声優の安達勇人さん(35)が実行委員長を務める町おこし団体「桜川大作戦実行委員会」が主催。市は「ヤマザクラのまちづくり」を推進する契機として捉え、運営に協力した。市ヤマザクラ課の飯村亮太さん(33)は「ヤマザクラのまちを未来につなぐためにも、子どもたちが関わる機会を増やしたい。地域の宝として愛着を持ってもらい、保全活動に携わる人材の育成や、人口減少対策にもつながるといい」と話した。来年以降も取り組みを継続させたい考えだ。

磯部桜川公園は、敷地内の約5500平方メートルが国の名勝指定区域となっているが、衰弱したり枯れたりする木もあり、市や市民団体が保全に取り組んでいる。学校でのヤマザクラの栽培は、市学校教育課が主導して6年前から始めた。対象は、市内の小学校と義務教育学校9校。ヤマザクラの保全に取り組む一般社団法人「桜川保勝会」が桜川磯部稲村神社の境内などから拾い集めた種を、児童が毎年授業で校内のプランターにまいて育てている。

植えられた苗木には、学校名の入ったタグがそれぞれ付けられている。植樹祭の発起人の一人、同市平沢の小森龍治さん(54)は「小学生の時に植えた苗が大きくなったらどうなるか、見に来てくれるのが理想」と思い入れを語った。

参加した桃山学園の3年生、小田倉羽美さん(9)は「大きくなって、と思いを込めて植えた。いつ咲くのか楽しみ」と笑った。

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