神様とのご縁を繋ぐ巫女猫のミーコ 参拝客に愛きょう振りまきおやつをゲット! 方除け宮火難除け宮として知られる京都・玉田神社

巫女猫ミーコ

京都府久御山町(くみやまちょう)にある玉田神社は、古くから方除け、火難除けのお宮として知られている。本殿左にある社務所(宮司宅)で暮らし、参拝客を出迎えているのが宮司・野口重典さん、妻で禰宜の貴子さん夫婦の飼い猫「ミーコ」(メス、推定13歳)だ。13年前、保健所に収容されていたところを引き取り、家族の一員に。2年前の「スーパー猫の日」に御朱印デビューして以来、神様と参拝客とのご縁を深める「巫女(みこ)猫」として訪れる人を和ませている。ミーコの仕事ぶりなどについて、貴子さんに話を聞いた。
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貴子さん 先代の猫「にゃん」(オス)が16歳で天国に旅立ってから、しばらくは悲しくて、猫は当分飼わないと思っていたのですが、しばらく経ったころ、宮司(夫の重典さん)が「生後半年の可愛いミケちゃんが保健所で保護されている」と聞き、連れ帰ってきたんですよ。それがミーコです。13年前のことでした。

やってきた当初、ミーコはめっちゃおとなしい子でした。こんなに静かで行儀いい子やったら飼いやすいわあ、と思ったんですけど、猫かぶってたんでしょうね(笑)。3日も経ったら本性だしてねえ。ふすまを破ることはなかったけど、家中を走り回るなどして、やんちゃ娘ぶりを発揮し始めました。最初はどんな所かわからんから神妙にしてたけど、家族はみんな猫好きやし、のびのびと自由に暮らせると感じたんかもしれません。

宮司宅の玄関でこのように出迎えてくれる

ミーコが巫女猫デビューしたんは「2」がずらっと並んだ「スーパー猫の日」(2022年2月22日)。3年前にお宮の大改修をしたんですが、せっかく改修工事をしたことやし、もっといろんな方々に参拝してもらえたらと。宮司が「名前が『ミーコ』やから『巫女(みこ)猫』やな」と言い出して(笑)。それで御朱印に巫女姿のミーコを描いたところ、多くの方が御朱印を求めにやって来てくださいました。

衣装は「1日宮司」バージョンもある(左、貴子さん提供)。横から見るとこんな感じになっている(右)

巫女姿の衣装は私の手作り。ほかにも宮司バージョンなど5種類ほどあります。猫の体の負担にならないよう、首で留める前掛けのような作りになっていて、行事告知のときなどに着てもらってます。

御朱印の頒布は、神社本殿の左隣にある社務所(兼自宅)で行なっています。ミーコもここで暮らしています。来客があると、必ずではないですけど、家の奥からトコトコと出てきてお出迎えすることが多いです。というのも、中にはおやつを持ってきてくれる方もいて、ミーコも誰か来たときはおやつをもらえる確率が高いとわかってるからでしょう。

「チュールをくれたら嬉しいにゃ」

猫好きな方はミーコの姿を見ただけですごく喜んでくれますね。ただ、おやつをもらうだけもらったら「もう用はないにゃ」といった感じで家の奥に戻ってしまうこともあり、もう少し愛嬌を振りまいてよ、って思うときもあります(笑)

縁側でひなたぼっこ

当社は大昔、朝廷より鬼門除けの伺いをたてられるなどしていたことから、日本最初の方除け宮と伝わっています。また、聖武天皇の御代には、ここの放牧地で育ち献上した馬が、宮中で起きた火災を鎮めたとの言い伝えがあり、その故事にちなんで火難除け宮としても知られています。火事だけでなく、今の時代、火を鎮めるといえば「SNSの炎上もあるやろう」ということで宮司が発案したのが「SNS炎上除御守」です。珍しいので、知る人ぞ知る御守になっていて、ひそかな人気です。

SNS炎上除御守

今年も2月22日の猫の日には、ミーコのイラストが入った御朱印を頒布します。やってこられる方の中には全国の神社の猫の御朱印ばかりを集めている猫好きさんもけっこうおられるのでびっくりします。国内には猫の御朱印を頒布する神社って、たくさんあるんですね。

今年の「猫の日」に頒布する予定の御朱印

うちの家族は宮司と私、10代から20代の子ども3人。みんな仕事や日々の行動はばらばらなんですけど、ミーコはいつも家族の真ん中にいて、絆を深めてくれる存在です。また、参拝に来られる方々と神様とのご縁をとりもってくれる存在でもありますね。

貴子さんに抱っこされるミーコ

ミーコはいま13歳。本当はもっと参拝客の方々と接する機会を増やせたらいいんでしょうけど、ストレスをなるべく与えないよう気をつけています。ずっと元気で長生きして、これからも神様のそばで私たちを見守ってほしいです。

【神社名】玉田神社
【住所】京都府久世郡久御山町森宮東一番地
【ホームページ】https://www.tamada-jinjya.com/

古くから朝廷との関係が深く、日本最初方除宮、御霊験名馬火鎮由来の火難除宮として知られている。境内には久御山町出身の元阪神タイガース・片岡篤史さんが奉納したという珍しいバット型の玉垣(左下)も。末社にあるハート型の石もかわいい(右下)

(まいどなニュース特約・西松 宏)

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