成長する大質量星を宿した“星のゆりかご”をハッブル宇宙望遠鏡が撮影

こちらは「さそり座(蠍座)」の方向約5900光年先の星雲「IRAS 16562-3959」です。IRAS 16562-3959は大質量星が形成されている星形成領域として知られています。星形成領域とはその名が示すように新たな星が形成されている領域で、“星のゆりかご”と表現されることもあります。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ3(WFC3)で観測された星形成領域「IRAS 16562-3959」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Fedriani, J. Tan)】

欧州宇宙機関(ESA)によると、画像の中心付近には太陽の約30倍の質量がある形成途中の大質量星が存在するとみられています。この星は大量の塵に隠されていて直接は見えないものの、星から双方向に放出されたジェットが塵を取り除いたことで、画像の中央から左上と右下に向かって光が漏れ出ているといいます。

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)」の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータ(赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されました。赤外線は人の目で捉えることができないので、画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています。画像の作成に使用されたハッブル宇宙望遠鏡の観測データは、大質量星の形成に関する研究の一環として2016年3月と2023年2月に取得されたということです。

冒頭の画像は“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として、ESAから2024年2月12日付で公開されています。

Source

  • ESA/Hubble \- Colouring what human eyes can’t see

文/sorae編集部

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