相手の心をキュンとさせる“恋文の書き方”とは? ラブレター代筆屋さんが伝授

学生時代から告白のときはラブレターを書いていたという小林慎太郎さんに、キュンとさせる恋文の書き方を教えてもらいました。

「恋愛に関する文章でも小説の場合は、読み終わったときに、“いい読後感だった”とか“きれいな文章だな”という感想でいいのですが、ラブレターの場合はそれで終わってしまっては意味がない。さらに“この人はいい人だ”、あるいは“付き合おうかな”と思ってもらわなければならない。そのためには、“好きだ”という気持ちを伝えることに加え、書き手の人間性や人柄を理解してもらい、かつ興味を持ってもらうことが大事です」

さらに、“好き”という気持ちに加え、“相手を思うからこそ感じている切なさ”を添えることができると、より相手の心を震わせることができる、とも。

「人が切なさを覚えるのは、孤独を自覚したり、自分の弱さを実感したときだと思います。なので、“好き”という気持ちの表現でも、“I Love You”ではなく“I Miss You”的な雰囲気を漂わせると、相手に切なさが伝わる。例えば“あなたの横にいたいし、あなたに横にいてもらいたい”と書くことで、恋することから感じる孤独を伝えることができ、それが相手の心に響くのでは、と思っています」

デジタルの時代、手紙を書いて渡すということはとても非効率。でも思索を巡らせながら便箋や封筒を選び、文章を考え、手で書き、切手を買いに行ってポストに入れる。その“相手を思う”という行為こそが、恋愛の醍醐味。

「絶対に忘れてはいけないのは、下書きです。下書きをすることで自分の気持ちが再確認でき、さらに手紙が良くなっていく。大人になるとラブレターを書く機会は減ると思いますが、ぜひみなさんも筆を執ってみてください」

大人が書く恋文、「か・わ・い・く」の4か条。

【か】会話をするように書く

一方的ではなく、双方向のコミュニケーションになる。
「気持ちを独りよがりで語られると、読む方は疲れてしまいます。会話するときのように、相手の反応を意識しながら書きましょう。また、文章の中に“お元気ですか?”などの問いかけを入れると、一方向のコミュニケーションになりがちな手紙が、会話のような双方向のやりとりになります」

【わ】分けて書く

書く時間を分けると、熱量と論理のバランスがとれる。
「ラブレターは熱がこもりすぎても伝わらないし、論理的すぎても響かない。そうならないためには、まずは夜に熱を込めて書いた後、翌日の日中に冷静になった頭で推敲する。その作業を何度か繰り返すと、気持ちが入りつつもわかりやすい、バランスのとれた手紙に仕上がります」

【い】1分で書く

まずは心のままに、思いの丈を一気に書き出してみる。
「意外とよく聞くのが、“書こうと決めたけれど、思いをどう文字にしていいかわからず、筆が動かない”という話。最初からうまく書こうとせずに、まずは1分くらいの短時間で思いの丈をバーッと下書きしてみる。質にこだわらず、とりあえず書ききってみることが、完成への第一歩です」

【く】崩して書く

堅苦しいのはNG。適度な柔らかさを忍ばせて。
「教科書通りの整いすぎた手紙は、堅苦しい印象を与え、相手の心には響きません。書道などでも、崩し字の方が胸を打つことがありますよね。それと同じで、美しい表現や整った構成などの型にこだわりすぎず、くだけた普段使いの言葉を適度に使うことで、読み手との距離を縮めることができます」

小林慎太郎さん ラブレター代筆屋。IT企業にて会社員として働く傍ら、2014年より活動を開始。これまでに200通以上の恋文を代筆。

※『anan』2024年2月21日号より。イラスト・micca

(by anan編集部)

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