なでしこ、北朝鮮戦は女子サッカーの未来がかかる決戦 OGが語る「五輪を逃すわけにはいかない」理由

元なでしこジャパンDFの川上直子氏(写真:ラジオ関西『カンピオーネ!レオネッサ!!』)

サッカーの日本女子代表「なでしこジャパン」は、2月末に、パリ五輪出場をかけたアジア最終予選、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)女子代表とのホーム&アウェイの決戦に挑みます。そのメンバーが8日に発表され、13日からは代表のトレーニングもスタート。チームが2月24日、アウェイでの第1戦に向けて準備を整えるなか、なでしこジャパンOGがラジオ番組で五輪出場の意義などを語りました。

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24日、北朝鮮の平壌で行われる予定だった第1戦は、AFC(アジアサッカー連盟)が中立地開催を提案し、会場が未定になっていることが、8日のメンバー発表会見で明かされています。なお、28日のホームでの第2戦(会場:東京・国立競技場)は予定通り行われることが決まっています。

試合まで約1週間となったなか、初戦の会場が決まっておらず、中立地での開催のほか、当初の平壌開催も可能性を残すという異例の事態。これには、なでしこジャパンOGの川上直子氏も心配の様子で、自らがパーソナリティーを務めるラジオ番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』(ラジオ関西)を通じて、「AFCさん、早く決めてください!」と懇願していました。

前回、2021年に行われた東京五輪では、開催国枠で出場し、ベスト8敗退となった、なでしこジャパン。2大会ぶりの最終予選に臨みますが、前回、2016年リオ・デ・ジャネイロ五輪のときは、大阪で行われた6チームによる最終予選でオーストラリア、中国の後塵を拝して、本大会出場を逃した苦い記憶があります。今回はそのときと違って北朝鮮とのホーム&アウェイでの戦いとなりますが、難敵相手でも勝って出場権を取りたいところです。

そのためにも「場所がどこになるかわからないが、アウェイの第1戦をまずは勝ちたい」と川上氏。「初戦を勝てば、『よし! 自分たちの国に帰ってやれる』というのはあるが、初戦であまりよくない結果だと、ものすごい疲れとプレッシャーのなかで(第2戦を)戦わなければいけなくなる。どんなことがあっても、ここを勝ち切れない限りは、オリンピックはない」と、第1戦の重要性を強調していました。

また、「オリンピックに出ないと、競技として国民の皆さんの目に触れる機会が少なくなる。イコール、人気が下降気味になってしまう」と、川上氏。その思いは、自身の現役時代の経験とも重なります。

川上氏が代表に選ばれる前、当時の日本女子代表が2000年シドニー五輪への出場権を獲得できなかったとき、「1回目の女子サッカー暗黒期が来た」(川上氏)。その後、2004年アテネ五輪出場を達成し、メンバーに選ばれていた川上氏は本大会でも主軸の1人として活躍。その大会前に決まった女子代表の愛称「なでしこジャパン」は、選手たちのアテネでの奮闘もあって、大きな注目を集め、今に至ります。

その後、なでしこは2008年北京五輪でベスト4入り。2011年女子W杯優勝を経て、2012年ロンドン五輪では銀メダルを獲得。しかし、2016年リオ五輪の出場を逃したあとは、「そこからちょっとほかのスポーツに人気を持って行かれたところもあった」と川上氏。「なので、二度と五輪を逃すわけにはいかない」と、女子サッカーに関わる1人としての思いをコメントしていました。

※ラジオ関西『カンピオーネ!レオネッサ!!』2024年2月12日放送回より

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