幸せを呼ぶ早春のミモザリース 暮らしの手作り|雨水【二十四節気 暦のレシピ】

2月19日より二十四節気は雨水(うすい)となりました。

雨水 節の話

空から舞い降りていた雪は、雨へと姿を変えはじめます。まだ気温も低く、咲く花の種類は少ない時季ですが、その中でも黄色の花が多いのが特徴です。これは、昆虫が見つけやすい色が黄色だから、といわれています。

黄色い花の中でもとりわけ人気が高いのはミモザではないでしょうか。早春の陽射しを浴び、レモンイエローの花がたわわに咲く様子は、明るい未来を一緒に運んできてくれるようで、幸せな気持ちになります。3月8日の「国際女性デー」では、ヨーロッパ、特にイタリアで男性が女性にミモザを贈る習慣が有名です。

早春の黄色い花の代名詞のようなミモザですが、じつはこのミモザという名は通称で、正式名称ではありません。ミモザの学名はアカシア(Acacia)、マメ科アカシア属。日本の庭木として人気の品種もギンヨウアカシアやパールアカシア、サンカクバアカシアなど、アカシアという名前なのです。

ではどうしてミモザと呼ばれているのでしょうか。じつはミモザ(Mimosa)の学名を持つのは、マメ科オジギソウ属。アカシアの原産地、オーストラリアに自生するフサアカシアの葉がオジギソウの葉に似ていたため、ヨーロッパに輸入された際、ミモザという名で呼ばれたのです。以来、アカシア属の黄色い花はミモザとして親しまれています。

ミモザは園芸用だけでなく、精油や香料としても活用されています。香料として主に使われるのは原産地に多いフサアカシアの花。ミモザ精油は甘く華やかで、精神状態を安定させ、ストレスを和らげる手助けをするといわれています。ただし、かなり粘度が高く、精油としては希釈されているものが多いため、アロマ業界よりも香料業界で主に活用されています。

可愛いだけでなく、さまざまな用途で活躍するミモザですが、やはり何よりもあの黄色い花が元気の源。ミモザの花の黄色が青い空に揺れる様子に憧れて、十号鉢のミモザを育てたことがあります。驚いたのは生命力が強すぎて根が鉢から飛び出し、鉢の下の地面にまで根を張ってしまったことです。

ミモザは前年の夏頃から小さく蕾をつけはじめ、季節と共に少しずつふくらんできます。大切に育てていたミモザの蕾が、はじめてぽわり、と開いたとき、まるで天使が訪れたかのような幸せな気持ちになりました。そのときの心躍る気持ちは毎年ミモザを目にするたびに思い出します。

【暮らしの手作り】幸せを呼ぶ早春のミモザリース

早春のリースとしてすっかりおなじみになったミモザ。このリースに使った花材はすべてアカシアです。葉が赤茶だったり、笹のように細かったりしますが、どれも同じように黄色いほわほわの花を咲かせます。

材料(直径20㎝のリース1個分)
*本数は目安。花材の状態で適宜変える。

写真右から
ギンヨウアカシア……5~6本
パールアカシア……1本
アカシアフロリバンダ……1本
アカシアプルプレア……1本
アカシアオーレア……1本

用意するもの
リース土台(赤づる・直径20cm)
リースワイヤー
花バサミ

作り方
1. 土台にワイヤーを巻き、ねじって留める。ワイヤーは最後まで切らずに巻くため、巻きはじめの端は長めに残しておく。

2. すべての花材を6~7cmに切る。適宜選び、花を上にして束ねて手に持つ。

3. 土台に【2】の束をワイヤーで2~3回しっかり巻きつける。次の束は花と茎の向きをそろえ、最初の束を隠すように巻く。

4. 【3】を繰り返しながら束をぐるりと巻く。

5. 最後の束は最初の束の下に茎を入れ込んで巻く。最後のワイヤーは切り、最初に残したワイヤーとねじって留める。

6. 全体のバランスを見て花材を足す。壁掛け用にワイヤーを裏側に通してでき上がり。

ミモザの花は、ドライフラワーになる過程で重力に負けて下を向いてしまうので、作ったら二、三日は平置きにしておきましょう。半乾きになってからドアや壁などに掛けると美しい形が保てます。

ぽろぽろと残った葉っぱや花も可愛いので、そのまま小皿などに置いてドライフラワーとして飾っても素敵です。

【書誌情報】 『二十四節気 暦のレシピ』 猪飼牧子・清水美由紀 著

古くから季節を表す言葉「二十四節気 七十二候」をテーマに、季節の移り変わりを花や植物で感じながら、ものづくりの楽しみを提案。小さな変化を繰り返しながら、季節とともに四季をたどっていく植物。その時季の植物をアレンジメントや料理やおやつに生かしたり、心と体を健やかするハーブやアロマを活用したり、ちょっとしたおもてなしの小物をつくったり。二十四節気を植物とものづくりで体感できるアイデアとレシピ120を紹介します。

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