瀬戸内に“春”告げるイカナゴ、8年連続「不漁」予測 2024年、“ほぼ漁獲見込まれず”

水揚げされたイカナゴ・シンコ(稚魚)とイカナゴ漁のようす<※海上画像提供・第五管区海上保安本部>

瀬戸内に春を告げる、イカナゴのシンコ(稚魚)漁について、兵庫県水産技術センター(兵庫県明石市)が19日までに、2024年のシーズンも兵庫県内の全ての海域で「不漁」と予測した。

不漁予測は2017年以降、8年連続。

【画像】厳しいシーズンが…イカナゴ漁

■不漁期の2017年以来、最も厳しい漁を予想

産卵量は低水準だった昨年(2023年)を下回り、稚魚の分布量も昨年を下回っている。

こうしたことから、2024年のシーズンは、播磨灘、大阪湾、紀伊水道のいずれの漁場で「ほぼ漁獲が見込まれない」と予想されるという。

漁期前の調査でわかった。原因として、水質の改善による魚介の栄養源の窒素不足によるところが大きいとみられる。

シンコ漁は、2016年までは1万トンを超えていた。ところが、2017年に前年比1割以下の1001トンに急減した。以降、2020年は過去最少の142トン、2021年は1467トン、2022年は少し持ち直して1665トン、2023年は再び減少して1209トンだった。

水産技術センターは、2024年シーズンについて「2017年以来、8年続く不漁年の中でも最も厳しい」とした。

そして、「資源量は近年でも最低水準と危機的な状況であり、将来にわたって持続的な漁獲を目指していくためには、イカナゴ資源を最大限残すことを考慮した取り組みが必要」と警鐘を鳴らす。

主な産卵場、播磨灘の鹿ノ瀬海域(明石海峡の西側から南西方向)での産卵量指数(親魚の大きさを考慮して算出した産卵量の目安)は昨年の約半数で、平年値と比べても18分の1にとどまるという。
※調査期間・2023年12月1日~2024年1月4日

今シーズンの漁の解禁日は、漁業者が2月下旬に行う試験操業などを参考にして決める。

© 株式会社ラジオ関西