パプアニューギニアで民族間抗争、26人が死亡 待ち伏せ攻撃か

南太平洋パプアニューギニアの山岳地方で民族間の紛争があり、数十人が死亡した。当局が発表した。

国家警察の報道官がBBCに語ったところによると、犠牲者は先週末、エンガ州で待ち伏せ攻撃を受け射殺されたという。

山岳地方では長年、暴力と闘ってきたが、今回の件はここ数年で最悪のケースとみられている。

違法な銃火器の流入が、民族間の衝突の犠牲者を増やし、暴力を加速させているとされる。

当局は当初、少なくとも64人が殺されたと発表。しかしその後、ミスが発覚し、死者数は26人に下方修正された。BBCは、パプアニューギニアの警察に確認を求めている。

警察は、首都ポートモレスビーから北西約600キロに位置するワバグ周辺の現場で、遺体の収容作業を開始した。

パプアニューギニア王立警察のジョージ・カカス本部長は豪公共放送ABCに対し、「私がエンガ州で、あるいは山岳地方全体で見た中で最大の(殺人)事件だ」と述べた。

「私たちはみな打ちのめされ、精神的にストレスを感じている。受け入れるのが本当に難しい」

警察には、現場のものだという生々しい映像や写真が寄せられている。メディアによると、遺体をトラックに積み込む様子が写っているという。

主に土地や富の分配をめぐる民族間の紛争が加速する中、エンガ州では昨年7月に3カ月間のロックダウンを実施。警察は、夜間の外出や旅行に制限をかけた。

翌8月には、3人の遺体が映った生々しい映像がインターネットで拡散し、パプアニューギニアの問題が世界に知れ渡った。

エンガ州のピーター・イパタス知事はABCの取材で、この事件の前に再び戦闘が勃発しそうな気配があったと述べた。

また、最近のエスカレーションには、最大17の民族が関与しており、平和を維持するのは最終的には治安部隊にかかっていると説明した。

「州としては、この戦闘が始まると分かっていたので、先週に治安部隊に警告を発し、このような事態が起きないよう適切な措置を取らせていた」

パプアニューギニアにとって、安全保障は広い意味でも懸念事項だ。1月には大規模な暴動と略奪で少なくとも15人が死亡。政府は緊急事態宣言を発令した。

最も密接な友好国の一つであるオーストラリアは、今回の殺人事件は「非常に動揺するものだ」と述べた。

アンソニー・アルバニージー首相は19日、「我々はパプアニューギニアの治安維持のため、特に警官の訓練など多大な支援を行っている」と語った。

(英語記事 Papua New Guinea ambush: Dozens shot dead in Highlands region

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