少子化対策の効果もいまひとつ…「世帯別所得」で露わになる、日本の悲惨

(※写真はイメージです/PIXTA)

長年、少子化問題を抱えている日本。政府は対策を打ち出してきましたが、効果はあまり出ていません。「いまの生活状況では、子供なんてとてもじゃないが…」という声も聞かれます。本記事では厚生労働省『国民生活基礎調査』(令和4年)とともに、改めて「子育て世帯のお金事情」について見ていきましょう。

世帯別の所得格差はいかほど?

かつては「一人っ子政策」が実施されていた中国。1979年から2014年まで、第二子を出産すると国に「社会扶養費」という名目の罰金を支払わなければなりませんでした。

それが2015年から2021年までは「二人まで」に制限が変更され、現在では「三人まで」子供を出産することが認められています。さらには、子供のいる家庭への「補助金給付」、「産休や育休の拡充」が実施されるまでになりました。

出生率の低下に対する政府の危機感がうかがわれますが、支援の期間が限定的であることもあり効果はあまり出ていないようです。

中国のように極端な政策がとられていたわけではない日本でも、少子化はやはり深刻です。様々な支援がおこなわれてきたものの、効果はやはりいまひとつ。

では子供のいる世帯の所得・貯蓄状況は、現状どうなっているのか? 厚生労働省『国民生活基礎調査』(令和4年)より、その他の世帯の状況とともに見ていきましょう。

■世帯別所得金額はいくら?

1世帯当たり所得金額は、全世帯平均「545万7,000円」となっています。詳しく見ていくと、高齢者世帯が「318万3,000円」(前年比-4.4%)、高齢者世帯以外の世帯が「665万円」(前年比-3.0%)、児童のいる世帯が「785万円」(前年比-3.5%)です。

※児童とは、18歳未満の未婚の子どもを指しています。

世帯別の貯蓄状況について見ていきましょう。「貯蓄がない」と答えた世帯は、高齢者世帯「11.3%」、高齢者以外の世帯「10.8%」、児童のいる世帯「9.2%」、母子世帯「22.5%」となっています。全世帯の平均は「11.0%」。9世帯に1世帯は「貯蓄がなく、日々の暮らしで精いっぱい」な現状があります。母子家庭に至っては貯蓄なしが2割超え。困窮世帯への早急な支援が望まれていることは、データにも表れています。

世帯別「1世帯あたりの平均貯蓄額」に驚くべき差

一方「貯蓄がある」と答えた世帯について、貯蓄額の分布を詳しく見ていくと、高齢者世帯でもっとも多かったのは貯蓄額「3,000万円以上」(14.0%)、高齢者以外の世帯の最多も同値で「3,000万円以上」(10.7%)、児童のいる世帯は「500万円~700万円」(12.5%)、母子家庭については「50万円未満」(12.1%)が最多となっています。

1世帯あたりの平均貯蓄額は、全世帯平均「1,603万9,000円」。しかし実際の分布図を見ると、平均からは大きく離れた実情が見て取れます。

少子高齢化が進んだ現在、日本の人口は約1億2,434万人(総務省統計局/令和5年9月確定値)。15歳未満人口は1,420万3,000人(前年同月比-32万人)、15~64歳人口は7,392万1,000人(前年同月比-28万3,000人)、65歳以上人口は3,622万5,000人(前年同月比-2万1,000人)となっています。

数年前とは異なり、65歳以上人口まで減少に転じてしまった日本。人口減は深刻で、2070年には全人口が8,700万人まで減ってしまうと予測されています(内閣府)。

「上辺ではない、本気の少子化政策」が求められますが、そのための莫大な財源をどう確保するか?も大きな問題です。手当の支給等、「分配」の行方に注目といえます。

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