盛岡タイムス廃刊へ 3月末 部数減で経営悪化

 盛岡市の盛岡タイムス社(宮野裕子社長)は20日、盛岡市を中心に発行する日刊の地域紙「盛岡タイムス」を3月30日で廃刊すると発表した。発行部数の減少などに伴う経営環境の悪化が主な要因。地域に密着した情報を提供し続けた50年余りの歴史に幕を閉じることになる。

 「廃刊のお知らせ」とした20日付朝刊の社告で明らかにした。

 同社によると、日刊岩手建設工業新聞社が発行するタブロイド判(8ページ)として1969年10月に創刊。72年に発行元を有限会社岩手写真製版社に移した後、83年に社名を有限会社盛岡タイムス社に変更。90年にブランケット判(8ページ)に移行し、2015年に株式会社盛岡タイムス社となった。

 盛岡、滝沢、八幡平、矢巾、紫波、雫石、岩手、葛巻の盛岡広域8市町エリアを中心に地域情報を掲載。読売新聞社から記事の配信も受けており、出版事業も手掛けている。社員は13人。廃刊後は会社を清算する方針。

 廃刊を決断した理由について宮野社長は「業界の課題となっている発行部数の減少や物価高に伴う世の中の人件費上昇の中でバランスを崩してしまい、今回苦渋の決断に至った。いまのうちに会社をたたむのが社員のためと思い廃刊を決意した」と説明。その上で「地域に密着し発行を続けて54年余りの間、ご愛読いただいた多くの皆様に感謝したい」と述べた。

 関連会社の日刊岩手建設工業新聞社が発行する日刊岩手建設工業新聞は発行を続ける。

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