『ニュージェネ!』など終了、ジュニアの活躍の場はどうなる? 独自の発信が今後の鍵に

長年ジュニアの活躍の場として放送を続けてきた『ニュージェネ!』(NHK BS)、『らじらー!サタデー』(NHKラジオ第1)が3月末をもって終了する。CDデビューをしていないジュニアにとって大きな拠点でもあった二つの番組が姿を消すことで、彼らがのびのびと活動する機会はどのような場所に移っていくだろうか。

『ニュージェネ!』は2023年まで『ザ少年倶楽部』として放送され、今年1月に番組名を変更しさまざまな事務所のグループやアーティストも出演する音楽番組に内容を変えた。この番組は地上波の歌番組に出演する機会が少ないジュニアのメンバーにとってカメラの前でパフォーマンスをする貴重な機会であり、ファンにとってライブ以外で彼らがステージで輝く姿が見られる貴重な時間だった。『らじらー!サタデー』は毎週土曜の夜に放送されており、現在、20時台はHey! Say! JUMPの八乙女光と伊野尾慧、21時台は関西ジュニアのメンバー、22時台は関東ジュニアのメンバーが交代で担当している。生放送で声だけで届けなければならないラジオはトーク力を磨く大きなチャンスであったように思う。

そんな二つの番組が終了することによるジュニアの活動への影響は多大なるものとなろう。まだデビュー前である彼らが、パフォーマンスを披露する場所がコンサートしかなくなってしまうことになる。それはつまり、すでにファンであり彼らを観に行こうとしてチケットを取った人しかステージを観ないということになり、今後はパフォーマンスをきっかけにした新規ファンの獲得も難しくなると考えられる。さらに、これまで毎月のように行われていた番組の収録もなくなることで、単純に場数が減り、メンバーのスキル育成への影響も懸念される。

ラジオに関しても『らじらー!』が終了することで、関東ジュニアユニットが出演している冠ラジオ番組はHiHi Jetsの『HiHi Jetsのラジオだじぇっつ!』(JFN系)のみになる。現在のジュニアにはドラマ出演やCM起用などの機会も多く、CDデビューしているグループに負けず劣らずの人気を持つグループが珍しくないが、その人気に対して供給量が見合わなくなるのではないだろうか。

これからジュニアの育成と活躍の場がどのように変わっていくかを考えると、SNSの運用がひとつ重要な鍵を握ると言える。実際、ジュニア全体で運用しているTikTokやInstagramでは最近投稿数が増えている。ジュニアの動画が投稿される独自のWebサービスであったISLAND TVが終了した代わりに表現の場をTikTokに移すジュニアも多く、流行っている音源で踊るような動画に限らず、歌や楽器の演奏など工夫を凝らした動画を載せるメンバーもいる。Instagramでは他にもライブ直前に意気込む様子を投稿したり、彼らの素に近い写真やレッスン中の写真などを公開したりしている。今まで運用されていなかったSNSのアカウントが設立されたことによって彼らの新たな魅力が伝わっているように思う。 パフォーマンス面においても、YouTubeチャンネルではライブやイベントの映像や、ダンスプラクティス動画の投稿も多い。

また、春にHiHi Jetsと美 少年がアリーナツアーを開催したり、Aぇ! groupがデビュー前に異例の単独京セラドーム公演を開催するなど、コンサートやイベントの規模は大きくなってきている。テレビやラジオのレギュラー番組が終了しても、現代の流行を左右するSNSを駆使し今までとは違った方法での発信が増えることで、ジュニアグループの活躍の場が大きく減ることはなさそうだ。

(文=池田夏葉)

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