新潮ミステリー大賞受賞の寺嶌さん、豊後大野市で講演 本との思い出、着想など語る【大分県】

講演する作家の寺嶌曜さん=豊後大野市三重町の市図書館
市内外から約50人が参加

 【豊後大野】2022年にデビュー作「キツネ狩り」で第9回新潮ミステリー大賞を受賞した豊後大野市千歳町出身の作家寺嶌曜(てらしま・よう)さん(65)=福岡県春日市=の講演会が17日、豊後大野市三重町の市図書館であった。同館のオープン3周年記念として開かれ、市内外から約50人が参加した。

 寺嶌さんは緒方工業高、九州産業大を卒業後、グラフィックデザイナーとして活躍。イベントのポスターやチラシの製作などをしている。新型コロナウイルス禍で仕事が減ったため、趣味で小説を書き始めたという。

 子どもの頃を振り返り、「本が好きだったが千歳には本屋がないので、たまに大分市に買いに行っていた。列車から降りたら走って店に駆け込むほど楽しみだった」と述べた。

 デビュー作で、主人公の右目が3年前の光景を見ることができるようになったという設定は「目から入った映像が脳に伝わるまで0.1~0.5秒。そのタイムラグが3年だったらと考えたのが発想のきっかけ」と説明した。

 続編や映画化については「出版社から続編を要望されているが、リアルに感じてもらえるよう細部まで書き込むので執筆は苦しい」「過去のミステリー大賞受賞作で映画化は一本もない。だが映像化が難しい設定ではないので、期待していてほしい」と話した。

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