浅瀬に座礁の貨物船、春節観光の人気スポットに 中国山東省

浅瀬に座礁の貨物船、春節観光の人気スポットに 中国山東省

16日、好運角観光リゾート区沖に座礁した貨物船「BLUEWAYS」。(栄成=新華社配信/常曄)

 【新華社済南2月22日】中国山東省栄成市の好運角観光リゾート区では春節(旧正月)の連休に多くの若者が訪れた。彼らの目的は海の景観だけでなく、浅瀬に座礁する貨物船だった。

 船は岸からわずか数百メートルの位置に、喫水線下の赤い塗装を露出して斜めに座礁しており、船首には「BLUEWAYS」の船名が見てとれる。岸には船を背景に記念撮影する人々が集まり、地元で熱気にあふれる観光スポットの一つとなっていた。17日までの春節8連休の1日当たりの人出は1万2千人を超えたという。

浅瀬に座礁の貨物船、春節観光の人気スポットに 中国山東省

14日、好運角観光リゾート区沖に座礁した貨物船「BLUEWAYS」。(栄成=新華社配信/常曄)

 BLUEWAYSはパナマ船籍のばら積み貨物船で、2022年9月に台風14号の強風を受けてリゾート区の海域に座礁。中国交通運輸部北海救助局が乗組員25人全員を救助した。船主はえい航費用が高額になることから、いまだに船を撤去していない。

 座礁した船は若者の人気を集めた。ソーシャルメディアで知った人々が23年春以降、全国各地から見物に訪れるようになり、地元は「必見」の観光スポットとなった。

浅瀬に座礁の貨物船、春節観光の人気スポットに 中国山東省

好運角観光リゾート区沖に座礁した貨物船「BLUEWAYS」。(1月24日撮影、栄成=新華社配信/楊正)

 リゾート区で働く林巍強(りん・ぎきょう)さんによると、船は全長190メートル、幅31メートルで、外観や岸からの距離、傾斜角度などの全てが観賞や写真撮影にうってつけなのだという。

 同船が人気を集めた背景には、中国の若者の文化観光に対する新たな追求がある。中国最大のショート動画投稿プラットフォーム「抖音(ドウイン)」では同船に関する動画の再生回数が5億回を超え、多くの人が自ら撮影した写真や動画を投稿した。

浅瀬に座礁の貨物船、春節観光の人気スポットに 中国山東省

14日、好運角観光リゾート区沖に座礁した貨物船「BLUEWAYS」。(栄成=新華社配信/常曄)

 中国ではここ数年、主要観光地での写真撮影が人気を集めており、同リゾート区も例外ではない。同省煙台市に住む写真家の馮煥威(ふう・かんい)さんは23年12月からリゾート区に常駐し、訪れた人々の求めに応じて写真を撮っている。良い写真を撮るためにキャンプチェアやマフラー、手袋、バラの花、ビール瓶などの小道具を用意。チームは4人で、それぞれが1日当たり20人近く撮影している。砂浜には現在、写真家十数人が集まっているが、撮影依頼は毎日絶えないという。

 馮さんは、船を見に来る若者は単にここが有名だからとか、いい写真を撮りたいからというわけでなく、日頃のストレスを発散し、人生を味わう目的も持っていると語った。(記者/李志浩)

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好運角観光リゾート区の砂浜で、座礁した貨物船を見る人たち。(1月24日撮影、栄成=新華社配信/楊正)

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16日、好運角観光リゾート区の砂浜で、座礁した貨物船を見る人たち。(栄成=新華社配信/常曄)

浅瀬に座礁の貨物船、春節観光の人気スポットに 中国山東省

14日、好運角観光リゾート区沖に座礁した貨物船「BLUEWAYS」。(栄成=新華社配信/常曄)

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好運角観光リゾート区の砂浜に登場した移動カフェ。(1月24日撮影、栄成=新華社配信/杜暁瑩)

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14日、好運角観光リゾート区沖に座礁した貨物船「BLUEWAYS」。(栄成=新華社配信/常曄)

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