東京の中野区議が扇動した結果…法務局が差別投稿49件の削除要請 区議は取材拒否

吉田康一郎氏が安田菜津紀さんに対する差別を扇動した2022年7月のツイート

[反ヘイト]

 東京都中野区の吉田康一郎区議がツイッター(現X)上で差別を扇動した結果、フォトジャーナリスト安田菜津紀さんに対する差別投稿が蔓延(まんえん)し、うち49件の削除を東京法務局が運営会社に求めたことが分かった。被害を申告していた安田さんらが21日、都内で記者会見して明らかにした。

 吉田氏は2022年7月、安田さんを名指しして「父親は在日コリアン2世で、元韓国籍、後に日本国籍を取得」と投稿した。これに返信する形で多数が「帰化取り消しを」「汚鮮」「反日で商売している」などと差別投稿し、3日間で少なくとも92件に達した。

 吉田氏のような投稿は「犬笛」に例えられる。犬にしか聞こえない周波数の音を出す笛のように、一見差別的でない言い回しで差別の標的を指し示し、攻撃をあおる害悪がある。

 法務局は23年12月までに41件を安田さん個人に対する人権侵犯と認定。8件は外国ルーツの人々に対するヘイトスピーチだとして、合わせて49件の削除を運営会社に求めた。

 安田さんの代理人、北村聡子弁護士は「吉田氏が差別を扇動した効果は見れば明らか。そういうつもりでなかったなら削除すべきだったが、放置した」と指摘。公人は国際人権法上、差別を終了させる責務を負う。安田さんは「公人の影響力を差別の扇動ではなく、解消に注ぐべきだ」と求めた。

 吉田氏は本紙の取材を拒否した。問題の投稿を現在も放置している。

(編集委員・阿部岳)

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 おことわり 差別の実態を共有してなくすため、差別表現を原文のまま掲載しています。

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