「あるべき姿に戻るのを見たいだけ」 ユナイテッド共同オーナーに正式就任のラトクリフ氏が誓い

ユナイテッド共同オーナーに正式就任のラトクリフ氏が語る。[写真:Getty Images]

サー・ジム・ラトクリフ氏がマンチェスター・ユナイテッドの共同オーナーとなり、今後を展望した。

ユナイテッドでは昨年12月、『INEOS』の創始者であるラトクリフ氏の一部株式取得で合意。あとはプレミアリーグとイングランドサッカー協会(FA)の承認を待つのみのなか、いずれも認められ、20日にその旨が明らかにされた。

27.7%の株式を所有する形でグレイザー一家とともに共同オーナーに就任したラトクリフ氏はイギリス『BBC』のダン・ローン氏とのインタビューに応じ、野望を語った。

「サー・アレックス・ファーガソンとデイビッド・ギルが退いてから、明らかに難しい11年間だった。それは照明のスイッチを押したり、新しい監督や単純かつ短期的な解決策だけじゃない。我々は誤った解決策に走るんじゃなく、正しい解決策に向かって歩まなければならないんだ」

「短期的な課題はFFPも考慮して、チャンピオンズリーグ(CL)に出ること。現実的な課題はフィールドでのパフォーマンスを上げ、試合に勝つため、組織と環境の整備を2〜3年で進めないといけないということだ」

「そのため、組織や設計、構造を正す必要がある。今のところ、監督はCEOに報告しているが、それでは意味がない。組織を充実させ、投資しないとね。それは非常にエキサイティングな挑戦だし、世界最高の人材を惹きつける」

「我々は世界最高の人材を見つけ、組織のなかでポジティブに働けるようなキャラクターとパーソナリティを示さないといけない。邪魔する者や、エゴなどいらない。そして、エリートのスポーツ選手が成功するため、適切な環境を作る。ここでやっているのはピッチ上のパフォーマンスを向上させることだ」

「激しくなるときもあるだろうが、友好的かつ協力的に、組織や適切な人材、適切な環境の組み合わせを作り上げる必要がある。さすれば、結果がついてくると信じている。今のユナイテッドを見て、それらがすべてあるとは言い難い」

現在のプレミアリーグでは宿敵のマンチェスター・シティが長らく覇権を握り、そこにリバプールが続き、アーセナルもミケル・アルテタ監督のもとで再び上位勢の一角に。ユナイテッドは遅れをとり、ラトクリフ氏もそれを認めるが、資金を投じての補強だけでは解決策にならないと話す。

「かなり遅れている。我々はね。だが、明日にも変えられるようなものでもない。残念だが、周囲は我々が取り戻すのに時間を与える必要がある。2~3シーズンはかかるだろうし、来季までにと考えるのは愚かだと思う」

「時間はかかる。忍耐が必要。間違った解決策に走るんじゃなく、正しい解決策に向かって歩いていかないといけない。夏に惜しげもなく金を使うのは解決策にならないし、それよりもずっと複雑だ」

また、「非常に誇らしい瞬間だし、マンチェスター・ユナイテッドの将来に影響を与えられる立場にいて、非常に光栄だ」との心境を口にすると、こう続けた。

「(マンチェスター・ユナイテッドを栄光に取り戻すという決意? )それは私が携わる唯一の理由だ。金銭的な問題じゃない。それなら、本業で十分に稼いでいる。携わる理由はマンチェスター・ユナイテッドがあるべき姿に戻るのを見たいだけだ」

「私の偏見かもしれないが、世界最大で最も有名なクラブだと信じている。プレミアリーグとCLに挑戦し、世界最高のフットボールをするクラブであるべきだ」

すでに内部からの改革も取り沙汰され、スタジアム等のインフラ整備にも目を向けているとされるラトクリフ氏のもと、ユナイテッドがどう変わっていくか。これからが楽しみだ。

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