ロシアは「武器と弾薬の調達に苦慮」 西側当局が見解示す

ロバート・グリーンオール、BBCニュース

ロシアはウクライナでの戦争で、武器や弾薬の調達に苦慮している――。西側当局がそうした見方を示している。

ある当局者はロシアについて、十分な装備や物資を確保するのが「極度に困難」な状況だとした。

ウクライナでの戦争をめぐっては、同国への西側からの武器供与に関して懸念が高まっている。

戦争は3年目に入ろうとしており、弾薬、武器、人員の供給が今後の鍵を握るとみられる。

西側当局者は、「ロシア国内の弾薬生産能力は現在、ウクライナ紛争のニーズを満たすには不十分だ」と説明。ロシアは代わりとなる供給源を探すことでしか弾薬や武器の供給を増やせていないとし、長期的な解決策にはなっていないとした。

原因の一つは制裁だと当局者らは指摘する。「制裁はロシアの軍産複合体に大きな打撃を与え、深刻な遅延とコスト増をもたらしている。西側の部品を入手できないため、ロシアは新型システムの生産と旧型システムの修理が非常に難しくなっている。生産している兵器の品質にも長期的な影響が出ている」。

ロシアは最近、ウクライナ東部の町アウディイウカを掌握するなど、戦場で優位に立っているように見える。

しかし西側当局は、ロシアの戦果は多大な代償を伴っているとみている。ロシアはウクライナよりはるかに高い割合で砲弾を発射しており、一部の推定では5倍多いとされる。だが2022年に比べると減っており、補充に必要な量の砲弾を生産できていないとの見方もある。

ロシアは当初の目標をあきらめていない

ウクライナは昨年の反転攻勢に失敗し、先行きについて一部で悲観的な見方が強まっている。そうした状況で西側当局が今回のコメントを出したのは、ロシアも問題を抱えている可能性があることに関心を集める狙いがあるとみられる。ロシアでミサイルなどの兵器がもうすぐ底をつくというこれまでの予測は、必ずしも正しくなかった。

当局者によると、ロシアは武器調達を外国に頼らざるを得なくなっている。イランからはドローン(無人機)やミサイル、北朝鮮からは弾薬を入手している。低品質なものもある一方で、調達には大がかりな交渉を要した。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相が北朝鮮を訪問したのはその一例とされる。

この当局者はまた、ロシアは外国に輸出予定だった国内生産の軍用品を強制的に取り立てていると述べた。輸出先には、ロシアの兵器に長年依存してきたインドも含まれている。インド空軍は昨年、望んでいたものを受け取っていないとしていた。

ロシアによるウクライナ侵攻は今月24日で丸2年を迎える。西側当局はロシアについて、ウクライナを「従属させる」するという当初の目標をあきらめていないとみている。

ただ、ロシアにはその目標を実現する明確な計画はないと、当局は分析。兵力と資源で上回っていることが、ゆくゆくはウクライナをすり潰すことになるだろうと、ロシアは期待するだけだとしている。

ロシアは現在、ウクライナが供与を受けるよりも多くの弾薬を生産している。しかし、ウクライナが友好国からさらなる弾薬を得られる可能性が残っている一方で、ロシアは供給の限界に近づいているかもしれない。

これは、西側のウクライナへの支援と武器供給が、戦争の結末を左右する重要な要素になりそうなことを明確にしている。米下院では現在、ウクライナ支援の600億ドル(約9兆円)を含む包括予算案が頓挫(とんざ)してしている。もし西側が支援を届けられなければ、ロシアは供給に苦しんではいるものの、ウクライナに対して粘り勝ちするかもしれないと懸念されている。

(英語記事 Russia 'struggling with supply of weapons and ammunition' for Ukraine war - Western officials

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