確定申告シーズンです。「医療費控除」の申告をする人もいるでしょう。
医療費控除の申告の際は、うっかり間違えてしまうポイントが実はたくさんあります。特に、今回初めて申告をする人は要注意です。
医療費控除の「よくある勘違い」について7つ紹介します。
1.「医療費総額」がそのまま返ってくるわけではない
医療費控除とは、「1年間でたくさんの医療費がかかって大変でしたね。一定額を超えた人には税金を軽くしてあげますよ」という制度です。
1月1日から12月31日までの1年間で、医療費が原則10万円を超えた場合が対象となります。もし、1年間で医療費総額が30万円なら、10万円を超えているので対象ですよね。ところが、この「30万円」がそのまま戻ってくると勘違いしている人もいるので、要注意です。
10万円を超えている分の「20万円」に対して、所得税と住民税が軽くなるのです。ちなみに、所得によって、所得税率が異なります。AさんとBさんが、二人とも「20万円」の医療費控除を受ける場合でも、Aさんの所得が高ければ、所得税率が高い分、戻ってくる税金は多くなりますし、Bさんの所得が低ければ、所得税率が低い分、戻ってくる税金は少なくなります。
2. 医療費総額が「10万円」を超えなくても大丈夫なケースも
1年間の医療費総額が10万円を超えていなくても、申告できるケースが主に2つあります。
一つ目が、所得が少ないケースです。
先ほどの「10万円を超えた場合が対象」とお伝えしましたが、これは所得が200万円以上の人の場合です。所得が200万円未満の場合は、その5%の額を超えた場合に対象となります。例えば所得が150万円なら、その5%である7万5000円を超えた場合に対象となるのです。
二つ目が、「セルフメディケーション税制」を利用するケースです。
これは、対象の市販の医薬品を、1年間で1万2000円を超えて購入した場合に、医療費控除が受けられる制度です。対象の医薬品には外箱などにマークが入っていたり、レシートにも表示されたりすることが多いです。「医療費が10万円に満たない」人は、ぜひ薬局などで購入した市販の医薬品の合計額を計算してみてください。
また、この制度を利用する場合は、健康診断や予防接種など「セルフで健康管理をしていますよ」という証明書が必要です。また、通常の医療費控除と併用はできず、どちらか一つを選ぶことになります。
3. 医療費総額には、「交通費」も含めてOK
「1年間の医療費総額」とは、病院で支払った医療費だけではありません。電車やバスなどの公共交通機関を使った場合は、その交通費も含めることができます。また、タクシーで行った場合は、例えば「骨折して電車やバスに乗れない」といった事情があればOKです。ただし、自家用車で行った場合のガソリン代や駐車場代は、NGです。
「医療費総額」の交通費については自己申告になりますので、忘れないように、病院に行ったら都度、メモをしておくといいですね。
4. 「医療費総額」は生計を一緒にする家族分を含めてOK
「自分はそんなに病院に行っていないし、ドラッグストアで薬も買っていないし、医療費は10万円もないな…」という人にお伝えしたいのが、この医療費総額は、「生計を一緒にする家族分を含めてOK」ということです。
例えば両親や兄弟姉妹、子どもなど、生計を一緒にしている家族分をあわせれば、10万円を超えているかもしれません。ぜひ一度、家族分の医療費を合計してみることをおすすめします。
5. 健康診断や人間ドッグの費用は「場合による」
医療費控除の対象となる「医療費」は、健康管理や病気予防のための「健康診断や人間ドッグ」の費用は含まれません。なぜなら、医療費控除は、基本的に「治療」に対しての医療費が対象だからです。
しかし、健康診断や人間ドッグによって病気などが見つかった場合は、治療の一環ということで対象となります。検査結果が出るまでは、レシートや領収書を取っておきましょう。
6. レーシックはOKだけど、普通のメガネはNG
医療費控除では、「治療」に関する医療費が対象で、「レーシック手術」を受けた場合もOKです。しかし、一般的な眼鏡やコンタクトレンズは、治療をしているわけではないとみなされ、対象となりません。
ただし、「オルソケラトロジー」という夜間につけて視力を矯正するコンタクトレンズの場合は、対象となります。
7. 医療保険から出る「給付金は差し引く」
民間の医療保険に入っていて、入院や手術などで、入院給付金や手術給付金を受け取った人もいるでしょう。医療費控除を受ける際には、医療費総額から、この受け取った金額を差し引く必要があります。忘れがちな点なので、気を付けましょう。
今回は、医療費控除でよくある勘違いについて、一般例をお伝えしました。医療費控除の詳細やセルフメディケーション税制対象の医薬品については、国税庁や厚生労働省のHPに解説があります。また、確定申告の詳細については、管轄の税務署等にご相談ください。