将来老化を遅らせることができる!? OIST研究チーム、細胞老化の原因を発見 沖縄

 【恩納】沖縄科学技術大学院大学(OIST)の膜生物学ユニット研究チームはこのほど、細胞膜が傷つくと細胞分裂ができなくなり「老化細胞」になることを証明した。論文は、老化研究の代表的な専門誌「Nature Aging」3月号の表紙を飾り、主要記事として紹介される。

 チームは細胞膜の損傷が細胞老化を促進することを10年がかりで解明した。メカニズムの要因の一つが分かったことで、老化細胞の抑制や予防の研究が加速し、将来老化を遅らせることが期待できるという。河野恵子准教授は「今後、老化細胞の仕組みをさらに明らかにし、健康寿命を延ばす取り組みや効果的な治療に役立てたい」と意気込む。

 細胞膜は細胞の内外を区切る膜で、厚さ5ナノメートル。けがなどで多少傷ついても修復されるが、損傷の程度によっては分裂が止まり死ぬ。

 老化細胞は、細胞分裂能力が低下しつつも、死んでいない状態にある。壊れた組織の修復に重要な役割を担うが、健全な細胞には悪影響を及ぼす。

 研究チームのメンバーは他に須田晃治郎氏、森山陽介氏、ヌルハナニ・ラザリ氏ら。東京大、名古屋大、名古屋市立大も協力した。(北部報道部・下地広也)

「老化細胞」に関する論文をまとめたOIST膜生物学ユニット研究チームの河野恵子准教授(前列右)ら=22日、恩納村

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