10年での生存率は10%? 厳しい飲食業界 グルメ漫画の名店、潰れない理由を考察

料理漫画『美味しんぼ』は高級グルメを取り扱っていたこともあってか、数多くの「セレブキャラ」が登場してきた。

大企業の社長や銀行の頭取、さらには謎の大富豪が登場した『美味しんぼ』のなかで、最も資産を持っていたのは誰なのだろうか。代表的な人物を検証してみたい。

■大原社主 3~10億円程度

東西新聞社社長の大原社主。帝都新聞と発行部数1位の座を激しく争う新聞社の経営者で、曽祖父や叔父も東西新聞関係者であることが語られ、自宅は田園調布であることもわかっている。

新聞社の社主ということになると、年収は1億程度あるものと見られる。東西新聞社の株式を30パーセント保有しているうえに、大原家が曽祖父時代から経営者を務めている、田園調布に家があることを考えると、3~10億円程度の資産を保有している可能性が高い。

■京極万太郎 10~30億円程度

高知県四万十出身の億万長者、京極万太郎。彼は幼少期にかなり貧しい生活を送っていたが、青年期に米問屋に丁稚奉公したのち、戦後の米相場で儲けて資産家になったことが作品中で語られている。

かなり謎が多い京極だが、骨董品の収集や企業への投資、さらには御所のような邸宅に住み、別宅であることを伺わせるなど、とにかく大金持ちである。また、裏社会とのつながりを示唆するシーンもあり、フィクサーとしての一面も持っていた。

どのようにして収入を得ているかわからないため、年収は不明。資産についても明確ではないが、10~30億程度、あるいは100億程度有しているのかもしれない。

■唐山陶人 資産不明も陶器は1枚100万~1000万円以上?

海原雄山の師匠で、山岡士郎の親代わりとなっていた人間国宝の唐山陶人。この人物も、かなりの金持ちとして描かれていた。

具体的な陶器の販売価格に言及されることはなかったが、人間国宝が作る陶器ということになると、1枚100万~1000万円の値段がつくものと見られる。ちなみに唐山陶人のモデルといわれる陶芸家で人間国宝の加藤唐九郎が作った陶器は、人気作品で100~500万、希少性の高いもので1000万を超えるといわれている。唐山陶人の資産も、底なし状態。孫ほど離れた年齢の領子が結婚を望むのも、頷ける。

■二木まり子 100億円超え?

日本屈指の財閥・二都グループの令嬢、二木まり子。祖父が二都銀行会長で、父親は二都銀行頭取という超大金持ちの令嬢だ。

非常にプライドが高く、IT社長の団一郎を「所詮成り上がり」と鼻で笑うなど、大金持ち特有の上から目線を全開にしていたまり子だが、記者としての能力は高いようで、雑誌・東西グラフの「世界味めぐり」という企画をほぼ1人で担当していた。

二都グループのモデルになっていると思われる三菱グループトップの年収は5億円程度と見られる。また、財閥系の銀行頭取となると、2億~3億程度の年収になる。二木家の総資産は、100億を超えているかもしれない。

■周大人 推定資産不明も3000万円の融資を快諾

横浜に暮らす中国人として登場した周大人。架橋の貿易商で、当時の国家副主席とも懇意という有力者ということになっていた。

周は豪邸に住んだうえ、複数の使用人やコックも抱えているなど、富豪エピソードには事欠かない。娘と駆け落ちしたお抱え料理人の王士秀が独立資金の融資を求めてきた際には、3000万という大金をポンと貸していた。

京極同様どのようにして収入を得ているのか不明のため、年収を推測することはできない。資産についても見当をつけることは不可能だ。

上記以外にも「セレブキャラ」が多く、庶民的な人物がほとんど出てこないと言っても過言ではなかった『美味しんぼ』。人気が爆発した時期がバブルだったことが、影響しているのかもしれない。

(文=佐藤俊治)

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