「我々のウクライナが終わるなど許さない」 全面侵攻2年にゼレンスキー氏

ロシアによる全面侵攻が始まってから丸2年となった24日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は演説で、「我々のウクライナが終わるなど、私たちは誰も許さない」と強調した。

西側諸国の首脳と並んで首都キーウで演説したゼレンスキー氏は、戦争終結を願うのは当然だが、それはウクライナが良しとする条件下での終戦でなくてはならないと述べた。

「だからこそ『戦争の終わり』と言う際、私たちは常に『我々の条件で』と足すのです。だからこそ『平和』という言葉には常に『公平な』という言葉がつくのです」と、大統領は強調した。

「私たちはそのために戦っている。すでに自分たちの人生のうち730日をかけて。そして勝利する日こそ、私たちの人生で最良の日になる」

この日の演説には、イタリアとベルギー、カナダの首脳に加え、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長も参列した。

指導者らは、戦死者の名前が刻まれた壁に花輪をささげて追悼した。

一方で目立った欠席者もいた。昨年はジョー・バイデン大統領が記念式典に出席したが、今年はアメリカの政府高官は出席しなかった。

ゼレンスキー大統領は23日、米連邦議会上院のチャック・シューマー院内総務(与党・民主党)が率いる代表団と面会している。この席でシューマー氏は、米政府はウクライナを支援していると述べた。

欧州連合(EU)のフォン・デア・ライエン委員長は、侵攻初期にウクライナの防衛にあたり、各国の期待を裏切って、ロシアの侵攻を食い止められると証明したウクライナ軍を称賛した。

「あなたがたはロシアがウクライナの中心部へ攻め込むのを防いだ。あなたがたは祖国と全ての欧州を守った」

イタリアとカナダはこの日、ウクライナとそれぞれ安全保障協定を締結。ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟への展望が開けた。

その後、日本を含む主要7カ国(G7)の首脳がテレビ会議を行い、ウクライナへの支援と、ロシアへの新たな制裁を約束した。

欧州各地でこの日、ウクライナへの連帯を示すデモ行進が行われ、参加者はロシアのウラジミール・プーチン大統領に戦争を止めるよう要求した。

モスクワでも、動員された兵士の妻たちが反戦デモを行い、少なくとも4人が拘束されたと報じられている。

ロシアでは反体制派を取り締まる法律が制定されているため、こうした抗議はまれだ。

侵攻から丸2年を迎えたウクライナは、厳しい状況にある。1週間前には、東部の要衝アウディイウカからの撤退を発表。ロシアにとってはここ数カ月で最大の勝利となった。

ウクライナ軍による反転攻勢の失敗や、アメリカからの追加支援の取り付けをめぐる問題なども、大きな痛手となっている。

こうしたなかでも戦闘は続いている。ウクライナの都市に対するロシアの直近の攻撃では、少なくとも4人が死亡した。

一方でウクライナ政府は、24日未明にドローン攻撃でロシア最大の製鉄所の一つを攻撃したと発表した。

ウクライナは、ロシアの軍艦を撃沈したり、偵察機を撃墜したりと、この戦争でいくつかの成果を上げているが、ゼレンスキー大統領が約束した勝利はまだほど遠いとされている。

(英語記事 Ukraine war: Zelensky insists country will win on second anniversary

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