【米大統領選2024】トランプ前米大統領、対立候補の地元でも余裕の勝利 共和党予備選

今年11月のアメリカ大統領選挙に向けた野党・共和党の候補者選びで、24日に南部サウスカロライナ州の予備選挙があり、ドナルド・トランプ前大統領がニッキー・ヘイリー元国連大使に大勝した。同州は、共和党でトランプ氏にただ一人対抗するヘイリー氏が知事を2期務めた地元。

トランプ氏は約20ポイント差をつけて勝利した。トランプ氏はこれで、共和党予備選や党員集会で投票が行われた4州すべてで勝利したことになる。

ヘイリー氏は候補指名争いから撤退しない意向を表明。少なくとも、15州と米領サモアで一斉に投票が行われる来月5日の「スーパーチューズデー」までは選挙戦を続けると改めて誓った。

勝利演説でヘイリー氏に触れず

トランプ氏は24日夜に米メディアが同氏の勝利確実を報じると、直後に支持者らを前に勝利演説をした。ヘイリー氏には一言も触れず、11月にある本選挙を見据えた発言をした。本選挙は前回に続き、民主党の現職ジョー・バイデン大統領との対決になる可能性が高い。

トランプ氏は演説で、「ジョー・バイデンに狙いを定める」、「彼は私たちの国を破壊している。『出ていけジョー、お前はクビだ』とみんなで言おう」と述べた。

また、党の「結束」を称賛。「こんな情熱はかつてなかった。共和党がこれほど結束しているのは見たことがない」とした。

この夜の演説は、先月のニューハンプシャー州予備選での勝利演説から様変わりした。ニューハンプシャー州でトランプ氏は、ヘイリー氏が「まるで勝ったかのような演説をした」として怒りをあらわにしていた。

トランプ氏には、強固な保守層の有権者や、前大統領の「アメリカをまた偉大にしよう(MAGA)」運動を支持する人たちが、大勢投票したもようだ。

同州での圧勝が予想されるなか、トランプ氏はほとんど同州を訪れなかった。23日夜の支持者集会では「あまり心配していない」と述べていた。

「代わりの候補を求めている人は多い」

ヘイリー氏も演説をし、トランプ氏の勝利を祝福した。

ただ、指名候補争いからは撤退しないと表明。自身に投票された約40%の票は「一部の小さなグループではない」と述べた。

ヘイリー氏はまた、「共和党の予備選では代わりの候補を求めている有権者がたくさんいる」とし、選挙戦を継続するのは自らの政治的野心のためではないと強調。

「大多数の米国民がドナルド・トランプもジョー・バイデンも支持していない状況で、この戦いをあきらめることはしない」と付け加えた。

ヘイリー氏は、「私たちの物語がこの夜で終わるわけではないのが、ありがたい」と述べ、「来週はずっと、スーパーチューズデー(で投票する)州を次々と訪れる」と候補者選びに残る意向を表明。

「私たちは11月にジョー・バイデンを倒さなくてはならない。ドナルド・トランプがジョー・バイデンを倒せるとは思えない。毎日のようにトランプは、多くの人を遠ざけている」とも述べた。

しかし、ヘイリー氏には明確な前途はない。トランプ氏はこれまでに獲得した代議員数で大きくリードしており、今後のすべての争いでも世論調査で大きくリードしている。

それでもヘイリー陣営が存続しているのは、資金力のある寄付者からの献金によるところが大きい。それらの献金は、ヘイリー氏の勝ち目がほとんどない中でも続いている。

選挙運動の関係者によると、ヘイリー氏は1月だけで1650万ドルを集めたという。月別では過去最大で、トランプ氏を大きく上回った。

(英語記事 Trump defeats Haley in South Carolina primary / South Carolina primary: Donald Trump projected to defeat Nikki Haley

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