解体修理中の金峯山寺二王門 調査後の礎石、間近に 奈良県内外13人が見学

二王門の基壇で、ひび割れた結晶片岩の礎石などを間近に見学する参加者=25日、吉野町吉野山の金峯山寺

 奈良県吉野町吉野山の世界遺産金峯山寺(五條良知管長)の境内で最古の建造物で2020年から解体修理が始まった国宝二王門の現場見学会が25日、開かれ、発掘調査を担当した県立橿原考古学研究所の研究員らが調査の進みを説明した。

 二王門は南北朝時代に造られた高さ約5メートルの大きな金剛力士像(重文)を安置する入母屋造り本瓦葺きの建造物で、全部を解体するのは築造以来初めてと分かった。解体工事が昨年終わり、基壇の発掘調査が行われた。

 現場見学会に県内外から男女13人が参加。解体した部材を整理・保管している覆い屋の中に入って説明を聞き、発掘調査を終えた基壇ではひび割れた礎石などを間近に見学した。

 創建時期の特定には至っていないが、基壇の盛り土の中から灰黒色をした瓦器碗(がきわん)の小さな破片や埋納された中国・明の永楽通宝などが出土した。礎石は近場で入手できる結晶片岩で、発掘調査を担当した岡田雅彦・県立橿原考古学研究所主任研究員は「板状に割れやすく、礎石として使われているのは初めて見た」と柱が立っていた跡や中央部のひび割れなどを指し示した。明治35年以降に改修されたことが分かる目薬ビンも見つかり、参加者は信仰を守り続ける人々の営みを実感した。

 現場見学会は5月25日と6月9日に予定しており、参加者(先着20人)を募集している。申し込みは同寺、電話0746(32)8371。

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