日本で唯一!江戸時代の鉄砲鍛冶屋敷が“歴史館”として3月3日オープン 大阪府堺市 約120点公開

「鉄炮鍛冶屋敷(町家歴史館井上関右衛門家住宅)」(大阪府堺市)

日本で唯一残る、江戸時代の鉄砲鍛冶屋敷「井上関右衛門家住宅」(大阪府堺市)が3月3日(日)、「鉄炮鍛冶屋敷(町家歴史館井上関右衛門家住宅)」としてオープンする。(※)

(※)一般的な「鉄砲」には「砲」、歴史館「鉄炮鍛冶屋敷」の固有名詞のみ「炮」の字を、それぞれ使用。

【写真】絶好のフォトスポット!商談気分が味わえる

鉄砲鍛冶屋敷とは、鉄砲鍛冶の作業場兼住居。2014年、井上関右衛門家の蔵から2万点を超える資料が見つかり、2015~2019年にかけて関西大学と堺市が共同で研究調査を行った。その結果、同家は江戸時代後期には、堺を代表する鉄砲鍛冶に成長を遂げたことが確認された。

堺は戦国時代から江戸時代にかけて、鉄砲の一大生産地だった。1543年、ポルトガルから種子島に鉄砲が伝来した直後、堺の商人がその製法を堺に持ち帰ったことがルーツの1つとされている。

「鉄炮鍛冶屋敷」は、鉄砲鍛冶井上家の屋敷を展示スペースとし、同家に伝わった貴重な資料など約120点を公開。部品を組み立てて鉄砲を完成させる「仕上場」では、鉄砲づくりの分業制や火縄銃の構造、各パーツなどについて解説している。また鉄砲の商談を行っていた帳場を再現した「みせの間」には、取引先の大名らの名前が書かれた「絵符」、注文数や値段などを記した帳面「大福帳」を展示しているほか、往時の雰囲気を伝える机も置かれ、絶好のフォトスポットとなっている。

鉄を鍛えて銃身をつくっていた「鍛冶場」には、鉄砲鍛冶の道具や銃身の製造工程の紹介に加え、鉄砲づくりの技術について説明するCG動画、火おこし用の送風機「ふいご」を模した装置による体験型の映像ゲームなども。展示エリア以外に茶室や庭もあり、町家らしい風情も楽しめる。

堺市文化観光局歴史遺産活用部文化財課の中村晶子課長は「井上関右衛門家は、たまたま空襲で焼けず、膨大な史料が良好な状態で残っていた。現存していることが奇跡としかいいようがないものばかり。当時の鉄砲づくりの技術とともに、堺の鉄砲鍛冶ビジネスの全貌を知ってもらえたら」と話している。

開館時間は午前10時から午後5時(入館は午後4時半まで)。初日の3月3日のみ午後1時から。入場料は高校生以上500円。火曜休館。

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