中国の研究機関、1PB級超高密度「スーパー光ディスク」を開発

中国の研究機関、1PB級超高密度「スーパー光ディスク」を開発

21日、中国科学院上海光学精密機械研究所が開催した「スーパー光ディスク」の記者発表会。(上海=新華社記者/張建松)

 【新華社北京2月26日】中国上海市にある研究機関、中国科学院上海光学精密機械研究所はこのほど、通常の光ディスクの1万倍以上、ハードディスクの百倍以上の記憶容量を持つ「スーパー光ディスク」の開発に成功したと発表した。中国が情報ストレージの重要なコア技術分野で大きな飛躍を果たし、デジタル経済の持続可能な発展を実現する上で非常に重要な意義がある。

 「スーパー光ディスク」は同研究所が上海理工大学などの研究機関と緊密に協力して、超大容量3次元超高密度光ストレージの研究で遂げた画期的な進展となった。研究成果は22日、国際的な学術誌「ネイチャー」に掲載された。

中国の研究機関、1PB級超高密度「スーパー光ディスク」を開発

21日、「スーパー光ディスク」を見せる中国科学院上海光学精密機械研究所の阮昊研究員。(上海=新華社記者/張建松)

 論文責任著者の1人、同研究所の阮昊(げん・こう)研究員によると、ストレージはデジタル経済の基礎の一つで、光ストレージ技術にはグリーン(環境配慮型)で省エネ、安全で信頼性が高く、寿命が長いという独自の利点があり、大量データの長期かつ低コストでの保存に非常に適している。しかし、光の回折限界の制限を受け、従来の市販の光ディスクの最大容量は100GB級に過ぎなかった。

 超高密度の書き込みや読み出し、3次元ストレージ、耐久性の高い媒質の同時開発は、ここ約10年の光ストレージ研究分野において、世界的な喫緊の課題となっていた。論文のもう1人の執筆責任者、上海理工大学の顧敏(こ・びん)院士(アカデミー会員)は2012年、ツインビーム超高密度光ストレージ原理の着想を提起した。

中国の研究機関、1PB級超高密度「スーパー光ディスク」を開発

21日、「スーパー光ディスク」を紹介する中国科学院上海光学精密機械研究所の阮昊研究員。(上海=新華社記者/張建松)

 研究チームは7年にわたって課題克服に取り組み、世界初のツインビームの制御集積誘導発光超高密度光ストレージ技術を利用して、情報の書き込みと読み出しで回折限界のこれまでの制限を突破し、ドットピッチ54ナノメートル、トラックピッチ70ナノメートルの超高密度データ保存を実現したほか、100層の多層化記録を実現した。ディスク1枚当たりの記録容量は1PB(ペタバイト、1PBは100万ギガバイト)級となっている。また、加速老化テストを通じて、光ディスクの媒質の耐久年数は40年以上であることを検証した。

 同研究所の関係責任者によると、研究チームは今後、独自のイノベーションと鍵となるコア技術の研究を加速し、超大容量光ストレージの集積化と産業化を推進するとともに、光学顕微鏡イメージング、光ディスプレー、光情報処理分野のクロスアプリケーション開発を進めていくという。(記者/張建松、孫青)

© 新華社