中国のクルーズ市場が回復 春節の需要旺盛

中国のクルーズ市場が回復 春節の需要旺盛

ロイヤル・カリビアン・インターナショナルのクルーズ船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」。(資料写真、天津=新華社配信)

 【新華社天津2月27日】中国では今年の春節(旧正月)、国際クルーズ船の運航が全面的に再開されて初めての春節となったことから、クルーズ旅行の需要が一気に高まり、旺盛な消費の活力を見せた。

 天津国際クルーズ母港には春節連休5日目となる14日、中国のクルーズ会社、愛達郵輪(アドラクルーズ)傘下のクルーズ船「メディテラニア」が帰港した。乗客1600人を乗せ、日本の福岡や韓国の済州島などに立ち寄った同船は、その日のうちに新たな旅へと出発した。

中国のクルーズ市場が回復 春節の需要旺盛

ロイヤル・カリビアン・インターナショナルのクルーズ船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」で楽しめるクライミングウォール。(資料写真、天津=新華社配信)

 同船の出発前、港のロビーは乗船を待つ客らでにぎわっていた。今回が初めてのクルーズ旅行という劉(りゅう)さん(女性)は休日をゆっくり過ごすために一家3人でやって来た。満足できれば夏に両親を連れてまた来たいという。劉さんの息子は「海も見られるし、遊技場もあるし、最高だよ」とうきうきした様子で語った。

 同港の通関検査を担う天津東疆辺防検査站(出入国検査所)によると、クルーズ船による出入境者数は1月からの累計で5万5100人余りに上っている。上海クルーズ港では2月、出入境検査の対象となるクルーズ船が20隻、出入境者数が7万8千人余りになる見込みだ。

中国のクルーズ市場が回復 春節の需要旺盛

14日、天津市にある東疆辺防検査站(出入国検査所)で、クルーズ船「メディテラニア」で到着した乗客の入国手続きをする職員。(天津=新華社配信)

 主要クルーズ会社は2023年から順次運航を再開している。世界クルーズ大手、ロイヤル・カリビアン・インターナショナルのクルーズ船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」は今年4月27日、上海を母港とした運航を開始する。同社のグローバルシニアバイスプレジデントでアジア地区代表の劉淄楠(りゅう・しなん)氏は「販売開始3日間の消費者の反応はすさまじく、初日の予約数は過去最高水準の2倍となった」と語る。すでに25年1月出航便の予約を始める消費者もいるという。

中国のクルーズ市場が回復 春節の需要旺盛

ロイヤル・カリビアン・インターナショナルのクルーズ船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」のメインダイニング。(資料写真、天津=新華社配信)

 中国交通運輸協会郵輪遊艇分会の鄭煒航(てい・いこう)常務副会長兼秘書長は「中国のクルーズ産業の発展の見通しに一貫して確かな自信を持っている」と話す。今年の春節期間中は、中国とシンガポールがビザの相互免除を始めたこともあり、東南アジア旅行に出かけた多くの中国人観光客が、シンガポールで運航された「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」に乗り、楽しくリラックスした時間を過ごしたという。同氏は、24年と25年の成長期間を経て、中国のクルーズ産業は新たな発展期を迎えるとみている。

中国のクルーズ市場が回復 春節の需要旺盛

14日、天津国際クルーズ母港に停泊するクルーズ船「メディテラニア」。(小型無人機から、天津=新華社配信)

 クルーズ産業を長年研究してきた上海工程技術大学の葉欣梁(よう・きんりょう)教授は「クルーズ船の数から見て、中国のクルーズ業界は今年、著しい成長を遂げている」と語る。中国では23年から、国や地方が一連の政策を発表、積極的なシグナルを発信し、業界に活力を与えてきた。交通主管部門は「国際クルーズ輸送の秩序ある運航再開試行計画」、上海市は「国際クルーズ経済の質の高い発展を推進する上海行動計画(2023~25年)」、青島市は「クルーズ観光の質の高い発展支援措置」を発表している。(記者/毛振華、宋瑞)

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