母国との架け橋になるべく、岩手県でアフガニスタン出身の兄弟が学びを深めている。獣医師で岩手医大助教のアブダリ・サイド・シャリフさん(34)と、盛岡市の専門学校で日本語を学ぶ弟のホシニ・サイド・アハマド・エドリスさん(22)。異境の地で道を切り開いた兄を追うように、貿易の仕事を志す弟も来県した。兄弟は「母国との距離を近づけたい」との思いを共にし、双方の住民が活発に行き来する未来を描いている。
「勉強の調子はどう?」「発音や漢字は難しいが、単語は増えてきたよ」。盛岡市内のホテルで近況を尋ねるシャリフさんに、エドリスさんが応じた。
本格的に日本語を学び始めたエドリスさんにとって、母語で話せる貴重なひととき。流ちょうな日本語を操る兄に追い付こうと、日夜、勉強詰めの生活を送っている。
兄弟は首都カブール近郊に位置する町ガズニーで生まれ育ち、本県との縁は2016年にさかのぼる。名門カブール大で学び、獣医師となったシャリフさんが専門性を高めようと、研究ポストがあった岩手大大学院に留学。新型コロナウイルス禍で一時帰国を余儀なくされたが、留学時の縁もあり、22年11月、岩手医大に助教として着任した。